2007.08.19

日本のこれから

 15日の終戦記念日にNHKで「日本のこれから」という憲法9条を考える番組があった。東京ブルーリボンの会で知り合った方から電話で教えていただいたので会社で仕事をしながら、ワンセグ携帯で観てました。 先日の蕎麦屋での集会に来ていただいたソプラノ歌手の森さんが出演されるという。

 番組の終盤に森さんがしゃべっていると汚い野次で妨害する平和主義者たち。どれだけの見識があるのか知らんが吹き上がって「勉強しろ」とか怒鳴っていたおっさんがいたなぁ。ホント、平和主義者の喧嘩っ早さには呆れ るよ。それで紛争は話し合いで解決しなければならないと主張するんだから、二重の意味で呆れる。たしかに、もし日本人がみんなこんなのばかりだったら、日本 が軍隊をもつと確かにやばいかもね。ま、そんなわけはないんだけど(笑)
 命が何より大切だから他国が攻めてきたら外国に逃げればよいとか白旗をあげればよいとか。本当に最低なことを平気で言うし。9条があるから60年間、平和で居られたとか平気で言うしな。あほか、米軍がいたからでしょ。
 個人として家族の一員として地域社会の一員として会社員として。。。様々な共同体の中の一人というアイデンティティは大事なんだけど、彼ら平和主義者は、国家だけすっ飛ばしていきなり地球に行くんだな。地球ラブ国家ヘイト奴隷ピース。環境問題とか人権とか民主主義とか国際法とかグローバルに共有すべき価値観はあるし、そのためには国家エゴを超克しなければならない場面はある。しかし、国家権力や軍事力はとにかく駄目ってことになると、偏りすぎてて彼らの主張をかえって弱めることになると思うんだけどな。
 個人から同心円状に段階を踏んで様々な共同体へ意識を広げていくことで初めて地球というグローバルな概念に適切にたどり着けると思うな。途中で国家という大事な枠をすっ飛ばすと軸の弱い個人が糸の切れた凧のようにふわふわと現実から遊離していく。社会の中で身の置き場の無い人間が現実社会から遊離してオウムに吸収されたように、国家を否定して国家国民としての自己の足腰を失ったものが護憲宗教に寄り集まっていく。国益を語れない平和主義者の言葉には耳を傾ける価値はない。出演者の中では、国益の観点から9条は守るべきという東京外国語大学大学院教授の 伊勢崎氏くらいが、まともに話ができる感じだったな。あとは小林よしのり氏も言った様に主張が「SF」だから会話にもならない。
 提案だけど、平和主義者は何があっても警察に頼らないし家の鍵は開けっ放しにすると宣言してみてはどうだろう。どうせ国家権力が嫌いなんでしょ?自国民すら信じられずに他国民を信頼することはできないでしょう。憲法9条に追加で国内犯罪の取り締まりもこれを放棄するとしてはどうかしらん?

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2006.11.26

めぐみ-引き裂かれた家族の30年

 拉致問題に関してアメリカのドキュメンタリー映画作家が横田めぐみさんとその御家族を中心にした映画を製作。紆余曲折を経てついに一般公開される運びとなった。何よりまずは借金を背負ってまで映画を製作してくれたアメリカ人のドキュメンタリー作家のお二人に日本国民として深い感謝。ここで言ってもしょうがないが、本当にありがとうございますと言いたい。
 世の中には不条理な被害を受けて苦しんでいる人は数限りなく居て、その種類も様々だ。その中で何故ことさらに拉致問題なのか?そういう疑問を持つ人も居 るかもしれない。それは「日本という国家が国民の生命と財産を守るかどうか」が政治権力だけでなく我々国民にも厳しく問われている問題だからだ、と僕は考えている。国家国民であることを意識する良民にとって無視できるはずの無い課題なのだ。

 さて映画であるが、初日、21:00に立川で見た。初日というのに観客は極端に少ない。映画上映を決断してくれた映画館や映画配給会社に申し訳ないと思えるくらいだ。 現在上映中。上映されている映画館のリストはこちら。ぜひ観にいってほしい。
 映画自体はこれまでの拉致問題の経緯が実によくまとめられていて、この問題に詳しく無い人にとっては入門篇のような役割を果たしていると思う。
 生々しくも淡々と描いているが故に、小泉元首相が最初に北朝鮮訪問をしたときに北朝鮮からめぐみさんの死亡を聞かされて記者会見に臨む横田滋さんの号泣の映像には刺された。いや、えぐられた。
 マスコミの前では笑顔を絶やさない横田滋さんの見慣れない沈痛な表情が何度も映し出される。拉致被害を受けたご家族の生の声、表情をありのままに描き続 けることで、ニュースや政治ブログのような言語空間での「拉致問題」という頭の理解を越えて訴えてくるものがある。悲劇の最中に居る家族の苦悩、長い年月による風化の圧力を物ともせず色褪せない家族愛、それらが否応無しに胸に迫るのだ。
 映画を観てしまえば、もう他人事ではない。心して関わってほしい。

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2006.05.22

ダビンチコードにみる女系社会への願望 

「ダビンチコード」 60点

 どうしても好奇心に勝てずダビンチコードを観て来た。
 有名な映画評サイトではラジー賞もので100点満点で20点と評されていたので、まったく期待せずに行ったのだが、なかなかどうし て「あの」原作の映画化には大筋で成功していたのではないかと思う。特に小説に挿絵も写真もないローズラインがビジュアルで観られた点はよかったな。

「超映画批評」の批判のポイントを検証してみよう
1.開始30分でほとんどの観客はついていけなくなる

自分は直前に原作を読んでいたのでまったくそういう感じはしなかった。むしろ実によくまとめてあるなと感心。ただ映画館 でトイレに入ると若い子たちは難しいと言っていたので、そういう意味では大衆的でないのかもしれないが。mixiの映画コミュニティでも原作を読んで無く ても分かった面白かったと言っている人も多いので、ある程度は映画慣れしている人なら問題ないレベルなのだろう。

2.展開が速すぎて登場人物の情念を感じ取る余韻がない

確かにヒロインがトラウマから立ち直るところは描けてないが、シラスと神父の愛情、ティービングの情熱、ソニエールの執 念は及第点をあげられる。3冊の本すべてのエピソードを同じ濃度で2時間30分の映画で描けるはずはないのだから、この批判はまったくもってフェアではな い。ティービングの情熱はむしろ小説よりもよく描けていたとさえ言えるだろう。”シラスが霧の中で祈る、この物語の中で最も感動的かつ美しいシーンをカッ トしているのは疑問が残る”と「超映画批評」では言うが、僕に言わせればそこは蛇足。

3.トンデモ説を原作と違ってそれっぽく演出できてない

これもまったくフェアな批判ではない。元の原作のネタがそういう意味では「トンデモ」なのだから。むしろティービングの 説をラングドンが批判する二人の議論の部分を尺の限られた映画の中で強調する。それで聖杯説を強調するティービング教授のトンデモビリーバーにありがちな 情熱と狂気を巧みに演出できていたという一石二鳥。そうした意味で「トンデモ」な側面に映画のほうが気を使っているとさえ言える。
 そもそも死海文書や異端とされ聖書に編纂されなかったユダの福音書、マリアの福音書などキリスト教の観点では異端とはいえ一級の歴史文書を元 にくみ上げられた説を、いったいどれほどの知識と「良識」で「トンデモ」と言い張っているのだろう。何様なのかと言いたい。カンヌの試写会でこの映画をせ せら笑ったという鼻持ちなら無いキリスト教エスタブリッシュメント・マスコミ。この映画を冷笑したがるのはそういう連中だということも注意したほうがよい だろう。青筋を立ててダビンチコードはインチキだと非難するバチカンのような人たちのスタイルばかりが攻撃ではないのだ。

4.暗号解読時のカタルシスが大幅に失われている

この批判は割と当たっている。原作ではクリプテックスを開けるとさらに小さなクリプテックスが、というくどさ。暗号解読 に関しては映画では実にあっさり。これも尺の問題だろう。「超映画批評」では触れられて無いが、むしろソフィーが原作と違ってほとんど暗号解読に貢献でき てないことのほうが問題だろう。これではソフィーの職業上の肩書きがなんの意味もない。この辺はハリウッドのマッチョ主義が出てしまったか(笑)

 とまぁ、ダビンチコードの映画版を擁護してみたが、ではこの映画が抜群に面白い映画だったかと言われると、いやぁそうではなかったというのが正直なところ。
 原作もそうなのだが警察と謎の組織に追われるところまでは良かった。しかしティービングが出てきて飛行機に乗ったあたりから歴史ミステリー解読 に物語の重点が移動。このあたりでこのテーマに興味の無い人が振り落とされてしまう。終盤の意外な展開も映画・小説などでストーリーテリングに慣れている 人にとっては実にありがちでベタな展開。小説も映画もそれは同様なのだが、映画は歴史ミステリー解読の醍醐味をあまり強調して無いから、サスペンスの要素 が片付いてしまうと映画としての吸引力が途端に落ちてしまったと思う。テーマに興味の無い人は最後の20分くらいは寝てしまったという人も多く出るのでは ないかと思う。
 そういう意味で大衆の大量動員が期待され目論まれている映画の割には観る人を選ぶタイプの映画になっているというギャップが問題なのだろう。
 個人的にはずいぶん愉しめた。他人には薦めにくいけど。 

 キリスト教は資本主義、民主主義の源でもある。こうした映画をきっかけに世間の関心が高まるのは良いことではないかと思う。
 映画では詳しい説明がないが父権的な時の権力者がキリスト教を大衆支配に利用し、女神信仰など女系社会的な要素を弾圧していった。娼婦とされ貶められたマグダラのマリアを聖女とする女神信仰は女系社会を求める人々の願望の反映でもある。またキリスト教の歴史にまつわるミステリーは男系・女系社会の葛藤の歴史でもあるという点も見逃してはならないだろう。
 家父長を中心にやくざのように団結して戦争に強く性にも厳格で男性中心に血筋が繋がっていくのが男系社会。邪馬台国の卑弥呼のように女神様が強く戦争に不向きで温厚で性にも奔放で母親中心に血筋が繋がっていくのが女系社会。世界はやくざ解なのでやくざな社会のほうが厳しい環境や競合を勝ち抜いて生きてこれたため、女系社会的な要素はこれまでの歴史の中で抑圧されてきている。抑圧からの解放として女系社会を願望する人々の無意識に訴えかけたのが今回のダビンチコードという作品であるということも言えるかもしれない。 

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2005.11.28

24シーズン4

 24シーズン4のDVDボックスを今回も大人買いし、一気に観た。シーズン3は24シリーズの高いクオリティを保ちながらもシーズン1,2と比較するといまいちだった。大統領周辺の権力闘争も空回り、敵も小粒で、ストーリー展開も強引杉だったけど、今回は割と良かった。まず敵役のマルワンが良い。敵が用意した何重もの罠に翻弄される米国政府首脳とCTU。ストーリーが一貫して無理な部分がないのは前回よりもシナリオが練れている感じがした。大統領を中心とした権力闘争の部分がなくなって対テロの要素だけで物語が進行するし、足手まといの家族が居ないので、物語の焦点は絞れているが24シリーズの魅力である複数の緊迫したストーリーが進行していく醍醐味は薄れている。シーズン1では大統領候補暗殺、シーズン2は核兵器テロ、シーズン3はバイオ兵器テロ、シーズン4は原発テロ。シーズン6まで製作が決定しているようだけど、もうテロの内容としてはネタ切れじゃないのだろうか?人の居ないところに落としたとはいえアメリカ本土で核が落ちるし(シーズン2)、感染を最小限の範囲で食い止めたとはいえ細菌兵器のアウトブレイクが起きるし(シーズン3)、今回も原発の一つがメルトダウンしたり大統領がxxしたりと(シーズン4)、わずか数年の間にアメリカも散々だ。
 内田樹氏は「街場のアメリカ論」で鋭い指摘をしているのだが、アメリカのヒーローは周囲の理解を得られずに苦悩するのが特徴だという。世界の警察として頑張っているのに世界各国からは嫌われてしまうアメリカは、もっとヒーローを尊敬しろよ、という本人もさすがに声高には恥ずかしくていえない無意識の本音が良く現れているんだそうだ。これは
非常に良く頷ける。24シリーズには、そういうアメリカの無意識が非常に良く現れていると思う。主人公であるヒーローのジャックバウワーは国家存亡の危機を何度も救った英雄でありながら奥さんは殺されるは職場を首になるは今回のシーズン4の最後もxxxになったりで散々だ。ま、それはルールを無視して独断専行で事を進めるからなんだけど、国際世論や国連の同意を得る前に単独で行動に出るのは世界の平和のために使命感があるからだ、という本音が現れていると言えなくもない(笑)

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2005.11.04

月1映画レビュー10月編

「インファナル・アフェアIII 終極無間」  それなりにドラマはあるが  55点
 潜入捜査官ヤン(アンディラウ)を殺し、潜入マフィアでありながら警官としての人生を歩み始めたラウ(トニーレオン)の前に保安部のヨンが立ちはだかる。二人の息詰る対決と善人として生きたいと願うラウの苦悩を描いた物語。
  ラウvs新キャラ・ヨンの話と捕らえておけば混乱はないだろう。そもそも新キャラ・ヨンがなんでこの話に絡んできてラウと対決するのかを説明するためにヤ ンが生きていたころの昔の話が時々挿入されると理解しておけば、最後にはすべての因果が繋がって「なるほど」となるし混乱は少ない。
 1作目の緊 迫感もないし、2作目のゴッドファーザー的な群像ドラマもなく、物語としては相当に地味だ。過去の話を時々挿入して構成が一見複雑になっているけど、ラウvs 新キャラ・ヨン自体は非常に単純な話。3は蛇足と言う感じもするけど、マフィアから警官としての人生を選択したラウのその後の人生を見届けないと1,2を観た 人間としては落ち着かないであろう。というわけで、映画としての魅力は1にはとうてい及ばないけど、見逃せないエピローグとして鑑賞をお勧めします。

 
 
「ボーン・スプレマシー」  アクション映画の純度高まる  75点
 今作は前作と違ってボーンの単独行動がほとんどなのでアクション映画として純度が高まっている。世界を又にかけ たロケによる世界紀行的な風景、危機を冷静な判断で乗り切るボーンのスパイとしてのリアルなスキル、モスクワでのカーチェイスもかなりの迫力。スピード感 があって1時間40分くらいで短くまとまっているのも良い。ただ、自分の正体が分からないまま次々と危機が迫るという前作に比べて緊迫感がやや減じている。今回は監督のカメラワークが冴えていて、臨場感という点では質が向上している。
 物語の構成とかアクションの見せ場など前回と同じなので、早くもマンネリ化の気配がしているのも事実なので、次回作があるのなら謎解きとかどんでん返しとか、何か斬新な要素を加えて欲しい。

 
 
「スウィングガールズ」  いやぁジャズって本当にいいもんですね  80点
 ドラマ自体はリアリティと起伏に欠けるB級青春ドラマだけど、楽器の習熟が早すぎるとか野暮なことは大人だったら言いっこなし。娯楽作品には娯楽作品にふさわしいだけのリアリティというものがあるのです。変に恋愛を絡めて物語の焦点をぼやかさず、落ちこぼれたちの成長に焦点を当てて爽やかにテンポ良く短くまとめた監督の手腕を素直に評価すべきでしょう。
 最後の演奏は圧巻。ジャズをほとんど聴いてこなかった自分にも、スイングしたくなるというのはこういうことか、と実感させる。この物語のフォーマットは「天使にラブソングを」に通じるものがある。あれも名作だったけど、日本のこちらも負けてない。
 
 

「デビルマン」  確かに駄作だけど、言われているほどには酷くないか 20点 
 世紀の駄作として有名な作品を一目見ようという好奇心で借りた。そういう悪趣味な動機でなければ鑑賞は薦められない。
  ストーリーの基本線は原作に忠実。割とよくまとまっていたとさえ言えるだろう。一つ一つのエピソードの描き方が寒いので登場人物にまるで感情移入できない が、同じ構成でまともな脚本家が書き直し、俳優を入れ替えれば、同じものでも、もう少しまともになったであろう。シレーヌが意味ありげに出てきてその後無 しの礫なのももう少し工夫すれば、相当良くなったのではないか。
 田んぼで義理の父にデーモンであることがばれた時の「ほわぁ」、暴徒に襲われた ヒロインの「私は魔女」、ヒロインが首を切られて晒されているのを見た主人公の「わぁぁ」、挙げていけばきりがないが最も重要なエピソードで極限状態の高 度な演技力が要求されるところを超がつく大根演技でこなすものだから観客が怒るのも無理はない。
 CGはそれほど悪くない。このCGに予算を使い すぎて大根役者の演技にリテイクをする時間的余裕がなかったのだろう。脚本家の那須という女性は監督の奥さんかあるいは娘さんか?脚本家に払えるお金もな くなったのだろう。脚本と演技指導だけでも、もう少し気合を入れていれば少なくともこれほど酷評はされなかっただろうに。
 原作の人類駄目論・ハ ルマゲドン的世界観を強調しているところなど基本的な狙いは悪くないと思うのだけど。ちょっとの努力でもっと良くなったであろう惜しいところがたくさん見 られるところが却って腹立たしいと感じるところが酷評を誘発するのであろう。ボブサップとか富永愛とかを出そうとする時点でまじめに映画を作ろうとする意 欲があったとは思えない。マンガの映画化という企画を舐めていたとしか思えない。うーむ、この映画を語ろうとするとどうしても厳しい言葉が後から後から溢 れてとまらないよ、ママン(笑)

 
 
「イノセンス」  分かりやすい話と聞き取れない台詞  50点
 アメリカで一台センセーションを巻き起こしたというキャプションが少しも大げさでない不朽の名作「攻殻機動隊」の続編。しかしあれの続編とあまり意識しすぎずに見るのがよいでしょう。続編というよりエピローグとかサイドストーリーとかそんな感じです。
 公安9課の刑事バトーが相棒のトグサとともに少女人身売買の組織にかち込みをかけて事件を解決する話。ストーリー はいたって単純です。物語には刺激が少なく淡々としていて実にハードボイルド風味。この味わいをよしとするかどうかでこの映画が楽しめるかどうかが決まり ます。前作を見ておく必要があるかどうかといえば、ストーリー的にはさほど必要ないでしょう。ただし、この近未来SF設定を背景として理解してないと何が 進行しているのかまるで分からない可能性もあります。人間が脳までサイボーグ化(義体化)していることや人間の魂はゴーストと呼ばれ、電脳に格納されてい ることなどです。売春SEXロボットにゴーストを吹き込むために生きた少女を誘拐してSEXロボットにインプリンティングするというところに、人間の魂す らデジタル化された世界の無常観のようなものが漂ってます。そういう世界だからこそ恋愛は肉の要素から切り離され純愛的で、前作でネットの海に消えた草薙 素子のゴーストを思いつづけるバトーの感情も純粋です。
 様々な古典から引用する台詞が多いのですが、初めからその台詞を知っていて背景に至るまで充分に理解してないと、台詞のスピードが速いこともあって、まる で聞き取れません。単なる衒学趣味であまり深い意味はなく、DJのスクラッチのようなものと考えて聞き流しておきましょう。まだインターネットも無いパソ コン通信の時代に「ネットは広大だ」という未来を象徴する衝撃の台詞を残した前作は原作漫画を書いた士郎正宗のSF観に支えられて時代を超えた名作となり えたのですが、近作はそういう支えがない分、物語として薄いのは否めないようです。
 映像と音楽は凄いの一言です。BGVとして楽しむのが最も適切なこの映画の鑑賞方法かもしれません。

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2005.10.11

TVタックル

 TVタックルを観た。小泉チルドレンが国会デビューしたが原稿棒読みで民主党にあしらわれて終わったと言う。おいおい。アレをどうみたらそういう解釈になるの?永田議員の「与党案で民営化するとラブレターも出せない」とかいう主張はお茶を吹きそうになったけど。片山さつきに「ラブレターのために税金投入か」と切りかえされて撃沈。また永田議員、佐藤ゆかりに民主党案の制度設計の欠陥を数字ベースで立証されると「政治家は理念を語るべき」と切れる。「批判されるとカッカするけど民主党も勉強になったでしょう」と小泉首相に諭される始末。永田議員が一人で間抜けで民主党の足を引っ張っているとも言えるが、他の民主党議員も片山・佐藤の攻撃にまともに回答できず。新聞にも「対案路線、ほろ苦スタート」と書かれる有様。 ま、これが普通の見方でしょう。
 やはり所詮はアサヒか、と思いきや北朝鮮・中国油田問題では強硬姿勢。他のマスコミではあまり取り上げてくれない民主党・西村真吾もVTRで登場。
 なるほど正体見えた。TVタックルとは保守左派とみつけたり。

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2005.10.08

愚痴

 TSUTAYAのDISCASというネットDVDレンタルを利用しているのだけど、まるで新作がこない。Wait機能というのがあってレンタル可能になるまで待つことができるのだけど「ボーン スプレマシー」は1ヶ月待っても来ない。24シーズン4ならいざ知らず、新作でなく「まだまだ話題作」でこれはどういうこと?クレームを上げたから、すぐに来るかな。結果が楽しみだ。
 しかし、クレームがトリガーで動き出すクレームドリブンな会社や組織はだめだなぁ、と我が身を省みる。想像だけど、DISCASの人もいろいろあるんだろうな。本社の造ったシステムがカスだとか、DISCASの業務のことを考えないTSUTAYA本社本位の使えないシステムをスタンダードだから使えと強要されるとか、あからさまに人手不足で労働環境は劣悪なのに上はむしろ人を減らすことばかり考えるとか、予算を削って中国人やインド人を雇って外国人比率を70%以上にしろと無茶を言うとか、TSUTAYAはこの業界で日本一の会社だと?こんな中身で日本一が聞いてあきれるとか、株主のことしか考えてねぇだろとか、DVD在庫管理の手続きにはやたらうるさいくせにTSUTAYA本社自体はむちゃな変更要求を突然出してきて現場を混乱させるとか、来年度設備投資計画を出させておいて時間と労力をとことん消費させた挙句にことごとく却下かよ!金がないなら最初から言え!殺すぞこら、とか。。。あれ、なんか違う会社の話になってきたな。ま、いろいろ大変なんだろうなぁDISCASも、なんて自分の会社とか組織に想いを馳せたとたんにやさしい気持ちになる俺。
 政治家に文句ばかりブログで垂れ流すのも、一種のお客様感覚で当事者感覚ではないんだろうな、なんてね。保守系ブログらしく無理やり政治ネタで落としてみました。

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2005.09.16

月一映画レビュー9月編

「ノロイ」 新作  怖いというより気持ち悪い 65点
  オカルト映画ではなくて、オカルト作家のビデオ作品を映画にして放映するというドキュメンタリー?らしい。結論から言うと僕の恐怖のツボを刺激してはくれなかったが、非常に良くできている完成度の高い作品なので、ネットで本当にドキュメンタリーなのかとググるような野暮な真似はせずにオカルト好きなら映画館に直行することを薦める。意味分かるね?
 手ぶれ画面が気持ち悪くて、映画終了後は本当に気分が悪くなった。映画に出てくるいかれた登場人物も気持ち悪い。サイコによる不条理な悪意への恐怖とノロイというオカルトの恐怖を製作者側は混乱しているように思う。最後の家全焼の真相もサイコなのオカルトなのという感じで中途半端さを感じてしまう。もちろん呪いのせいで正常な理性が壊れてしまうという説明は立つんだけどねぇ。
 登場人物の演技はいずれもかなりレベルが高い。展開もスピーディで引き込まれる。数々の他のオカルト取材が「かぐたば」というノロイに繋がっていくところも面白い。ところどころ挟まれるオカルト映像もぞくっとするセンスの良いもの。同じビデオ作品ということでブレアウィッチが引き合いに出されると思うが、あれよりは100万倍面白い。

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2005.08.28

月一映画レビュー8月編

「容疑者 室井慎次」 新作 娯楽性は少ないが良い映画 60点
 「踊る大捜査線」から警察官僚の室井を主人公にしたスピンアウト第二段。「踊る大捜査線」ファンとしてはやっぱり観ずにはいられない。「交渉人 真下正義」が本編以上に娯楽性が高くて完成度の高い映画をぶつけてきたのに対して、こちらは物語の仕掛けとしてはぐっと地味だ。室井というキャラクターの生き様というのものに焦点を当てた警察ハードボイルドという感じ。登場人物のキャラクターや演出や演技は過剰でいかにも「踊る」的だ。敵役の弁護士など典型的。リアリティがないという見方もあるが、その分、地味に口数少なく不条理で絶望的な状況の中で自分の信条を貫こうとする行動を示す室井という人物への印象は高まる。
 警察官僚組織に渦巻く陰謀、くだらない人物が引き起こしたくだらない事件に振り回される周囲。やりきれなさの中で輝く信念を曲げない主人公たちの行動。こういうエッセンスは「踊る」の映画第一作に近い。ある意味、もっとも「踊る」のエッセンスが濃い作品だ。このシリーズに興味のない人こそ、この作品を観るといったい何故このシリーズがこれだけの支持を得ているのかつかむことができるであろう。織田裕二が嫌いという理由でこのシリーズを観ない人も多いが、そういう人にもお勧め。
 個人的には80点だが、一般人の視点に立つと娯楽性に若干欠けるのであえて減点。


「亡国のイージス」 新作 人間ドラマはいいがアクションも頼むよ 40点
 本物のイージス艦を使って撮影と聞くと、愛国者としては観ずには居られない。原作と比べると何それ、というくらい物語の魅力がダウングレードしているらしい。しかし長編小説上下二巻分を映画にするのだからどうしても薄味になるのはやむをえないであろう。ま、問題はそこではないのだけど(笑)原作を読んでないので、そんなに悲惨な印象は受けなかった。いろいろ言いたい事はあるが、全体としてはまぁまぁ。
 物語は良くまとまっていて破綻はない。「モーニング」で漫画が連載中でいそかぜが乗っ取られるところまでを読んでいるが、比較しても短く良くまとめている。イージス艦同士の戦闘はなかなかの映像で、こういうのは小説では味わえない映画の醍醐味だろう。もう少ししっかり描いてほしかったのだけどあっさり終わって食い足らなさが残る。致命的なのはイージス艦での艦内戦闘の迫力の無さ。スローモーションとか使っちゃったりなんかして。え?それって70年代の演出?そりゃないぜ、って感じでどっちらけ。
 しかし、もっとも引っかかったのは先任伍長のセリフ「生きろ、どんなにみっともなくてもいい、とにかく生きろ」。あれま。「命(ぬち)どぅ宝」ですか。命を賭してもかける価値はないんですか。それが今の日本で最上の価値ですか。それが監督が考える最高の決め台詞ですか。「亡国のイージス」の最大のテーマは「命(ぬち)どぅ宝」これで決まりです。この映画、あまり愛国者向けではないですね。
 蛇足ですが、ダイスのような諜報機関、小説の世界だけでなく現実の自衛隊でもしっかり育ててほしいものです。

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2005.07.13

月一映画レビュー7月編

「交渉人 真下正義」 新作  本編より面白い 75点
 「踊る大捜査線」からキャリアでネゴシエーターの真下を主人公にスピンアウトした作品が公開。「踊る大捜査線」ファンとしては観ずにはいられない。
 地下鉄の映像は迫力があり、ストーリーも引き締まっていてなかなか面白い。ユースケサンタマリアの演技もまぁ悪くない。ところどころ挟まれる笑いもキャラ表現の強化と良い意味での緩和でリズムを作っている。本編よりも圧倒的に面白いじゃないの。勘で捜査するやくざのような叩き上げの刑事、手書きダイヤの達人である引き屋の老人、頑固で職人的な地下鉄職人など時代遅れな人物像に光をあて、それでいてITを駆使する警察キャリアの若手にも活躍の場を与え、テクノロジーの力を否定しない。むしろ新旧の職人たちが力をあわせて難局を乗り切るところが清々しい。
 難をいえば、ネゴシエーターとしての犯人とのやり取りがちょっと子供だましっぽくて、唸るものがなかったのが弱点か。鉄道パニックで一貫させずに音楽ホールの爆破とリンクさせたのも緊迫感が減じたように感じた。
 とはいえ、大根役者の織田裕二をはずしたスピンオフのほうが面白いというのは皮肉でもあるが、このままシリーズを続けてほしいとも思わせる。


「STAR WARS Episode3 シスの復讐」 新作  圧倒的な映像・悲劇の情感 85点
 StarWarsはずっとVIDEOかDVDばかりで、今回初めて映画館で観たのだけど、これがまた圧倒的な迫力。最初の空中戦など情報量が凄くてめまいがした。音響も凄い。これを観るためだけに映画館に脚を運んでもまるで損はしないだろう。2時間21分がこれほど短く感じたのは初めてかもしれない。
 アナキン・スカイウォーカーが如何にしてダースベーダーになるか(善の戦士、ジェダイが如何に転落していくか)というのが、今回のドラマ。選ばれし者=アナキンがダークサイドに転落し、ジェダイの戦士たちも次々と虐殺される悲劇の物語。アナキンが転落するところまでは良かったが、そこから先の彼が徐々に変貌していく描き方が不足していて少し不満。
 オビ=ワンとの決闘は舞台も含めて非常に良かった。なぜダースベイダーが黒いマスクでコーホーいうのかというところにも繋がっていてドラマのクライマックスとしても情感たっぷりで物語の整合性も見事に保たれている。
 映画館では映画が始まると大歓声、映画が終わると大きな拍手。コアなファンをたくさん作るだけの奥深い魅力がこのシリーズにはある。正直、エピソード1,2は面白いとは思わなかったが、あの2作はプロローグみたいなもの。このエピソード3のための序章。すべての登場人物の運命はこのエピソード3で怒涛の展開で決していく。世間の評判どおりシリーズ最高傑作だ。


「シュレック2」 本当に大人から子供までとはこういうこと 65点
 さまざまな映画や童話のパロディを次から次へと繰り出すところは愉しい。適度に毒もあって大人も楽しめる。キャラクターは大人にとっても子供にとっても魅力たっぷり。大人から子供まで愉しめるとはまさにこの映画のこと。CGの繊細さ美しさはただ事ではないレベル。 1シーンごとに見とれてしまう。
 ドラマ的には前作のほうが見ごたえがあったが、映像と愉しさでは今作に軍配が上がる。



「オールドボーイ」 痺れた  95点
 俳優の演技、演出、ストーリーすべてが秀逸。映画賞を受賞しているが芸術作品にありがちな訳の分からなさというのはなく、話は整合しているし分かりやすい。主人公とともに謎を追いかけていくストーリーには疾走感があって2時間の上映時間が短く感じた。二日酔いで体調が悪く最初の5分だけ観て後は後日にと思いながら観始めたのだが、夢中で最後まで鑑賞。
 オールドボーイとは日本で言うOBのことだったんですね。
 ちょっとエグイ暴力表現があるところなどが子供には見せられない映画になっているが、それでよいだろう。全体として大人だけが分かる味わいだから。
 原作は日本の漫画。土屋ガロン原作でこちらもお勧め。



「ガタカ」 静かな作品 最後にはしみじみと感動が  80点
 遺伝子で差別される新しい階層社会、遺伝子操作が当たり前の社会で自然出産で遺伝的欠陥を抱えて生まれた主人公。いわゆる近未来SFだが、物語の構成、俳優の演技、脚本、人物造型、どれをとっても安っぽいところはひとつもありません。兄弟の葛藤、友情、愛情、託される夢と希望。静かにさりげなくA級のタッチで表現されてます。SF映画の名作の一つに数え上げてもいいでしょう。ただSFというより身分を偽って目的を遂げようとする主人公と殺人事件に巻き込まれた挙句にすべてが発覚しそうになるサスペンスのほうが物語の中心で、SF映画と身構えてみる必要はないし、 SFが苦手な人でも十分に鑑賞できる映画です。個人的には車椅子の元エリートを演じるジュード・ロウの演技がもっとも心に残ります。

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2005.06.12

月一映画レビュー6月編

「戦国自衛隊 1549」 新作  映像は本物の迫力。ドラマは平凡  65点
 自衛隊の全面協力で、名作「亡国のイージス」を書いた福井氏の原作を得て、角川映画が新しいストーリーで戦国自衛隊をリメイクするという。自衛隊全面協力による本物の戦車・軍事ヘリが(おぉ)。うーむ。映画館で観るしかあるまい。たしかにすべて本物を使った映像は迫力満点で腐れCG満載の映画よりずっと絵が良い。この点はかなり満足できる。
 原作のイメージを汚したという人は居ないだろう。半村良の原作は短い中篇小説で、もともと昔作られた映画版の戦国自衛隊もだいぶ原作とは違っている。むしろタイムスリップした自衛隊が織田信長の役割をするようになるという意味では、こちらのほうがより原作に近い設定といえなくもない。歴史が歴史を動かすキーパーソンを選定し歴史を修復しようとするという原作小説のエッセンスを今作品のほうが正しく理解しているともいえる。
 身も蓋も無いことを言ってしまえば、前作のような人海戦術の戦国戦力vs自衛隊の近代兵器戦力による川中島の戦いのほうがよほど面白いし、歴史に翻弄された末路の無常さという点で前作のほうがドラマが深い、つまり前の映画のほうが面白かったということなんだけど(笑)近作は自衛隊vs自衛隊で迫力ある映像を畳み掛けてくるのでエンターテインメントという点では今作品に軍配が上がるだろう。
 戦国時代に石油を掘ったり生瀬隊長(笑)のおかしな行動原理とか富士山麓に城は構えないだろうとか石油は100万歩ゆずっても弾丸とかは合戦の繰り返しで2年のうちにとっくに在庫切れしているだろう、タイムパラドックスで虚数空間ができるって。。。えぇ?(笑)とか突っ込みどころは非常に多いけど、それを始めると愉しめなくなるので、あまり深いことは考えず矛盾を見つけても「娯楽作品、娯楽作品、お約束、お約束」と念仏のように唱えて忘れましょう。
 大方の予想を裏切ることなく役者の演技にはまるで期待できないが、北村一輝だけはよかった。脚本やセリフが苦しいが、あの佇まいと雰囲気は非常に説得力があって、映画が引き締まっていた。
 自衛隊内部に先制攻撃も辞さないFユニットとか、やるかやられるかの状況では専守防衛も虚しいとか、守るべきもののために戦うべしとか、この映画には痺れるようなタカ派的主張が溢れている点も右派にとっては美味しいポイントであることは見逃してはならない。

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2005.05.29

月1映画レビュー5月編

 TSUTAYA「DISCAS」に入会したのはいいけど、だんだん毎週映画を観るのが苦痛になってきた。「JFK」を借りたのだけど、結局観れずに返却。仕事で見も心も消耗しているから重い作品はパスしたいなんて考えたり。力を抜いて楽しめる作品を借りようとして、それが裏目に。では、以下にレビューです。

「キャットウーマン」 清々しいほどのお馬鹿映画  5点

 気弱な化粧品会社の広告デザイナーがふとしたことから会社の悪事を知ってしまい消される。そこでエジプトの魔猫から霊力を授かってボンテージ姿の研ナオコに生まれ変わる!研ナオコはキャットウーマンとして超人的なネコ能力を身に着けるのであった。
 敵の女社長との最終決戦。女社長は有毒化粧品の力で痛みを感じない鋼鉄の肌を手に入れキャットウーマンと互角の戦いを繰り広げるのであった!
 スカッとしたい気弱な女性にはハリウッドCGもついでに楽しめてお勧めです。それ以外のすべての人類にはお勧めできません



「ロッカーズ」  面白いという噂だったんだけど 40点   
 テンポ良く観れるのだけど、今ひとつはまれない。エピソードの繋がりや編集が良くないのか。ロッカーズが成り上がっていくところがかなり端折られている感じがして不満。
 ストーリーは、めがねブスが実は美人だったとかあまりにも古臭いお約束が多くて、ちょっと感心しない。
 でもクライマックスのライブはよかった。そこで終わって後日談はエンドロールあたりで短くまとめていれば、もっと良くなっていたのだと思う。亡くなった友人に捧げるという思い入れで映画のバランスが少し壊れている。




「ダークシティ」 (P.K.ディック+B級宇宙人侵略者モノ)割る2   30点
 自分の世界および記憶が誰かに作られたものであるというアイディア。SF作家フィリップ.K.ディックが得意とする話で、多くのSF系ストーリーテラー (特にアメリカの)に影響を与えてます。P.K.ディックは1955年にデビューし60年代から70年代にかけて活躍した作家。このダークシティをマト リックの元ネタとか、押井守の「ビューティフルドリーマー」の影響を受けたとか言う人がいますが、それは誤解。P.K.ディックの名前を覚えておきましょ う。SF映画の名作「ブレードランナー」、「トータルリコール」、「マイノリティレポート」の原作を書いた人。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は ブレードランナーの原作になったディックの代表作であり、SF小説の中でも傑作中の傑作なので是非一読を薦めます。
 さて、この映画はそんなディックの影響を受けたディックフォロワーの作品の一つ。ハリウッドのSFはこういうの多いですね。もうディック系と カテゴライズしてもいいくらいです。僕はSF作家ディックの作品に耽溺する青少年時代を過ごしてきたので、この手の作品は観ずに居られず、観て後悔すると いうのが毎度の僕のパターンです。
 さて、ダークシティですが、最初のナレーションでネタばれしてますので、真相が判明してもまるで驚きはありません。なにせ真相が真相だけにB 級の香りがプンプンします。最後の対決もトホホという感じがします。水と太陽が嫌いな宇宙人、それじゃ地球には住めないだろ?どうやら動機は地球侵略では なくて地球人の心を知りたいと。それで何でかしら無いけど絶滅の危機に瀕した彼らの種が救済されるそうな。チューニング(笑)という超能力があれほど発達 していれば、あれほどの宇宙船を作れるような機械文明は発達しないだろうに。人間が現在のような機械文明を作り上げたのは人間自身が固として無能で無力 だからです。この宇宙人、作劇術上のご都合主義の塊のような存在で笑ってしまいます。
 しかし作品の雰囲気と映像は悪くありません。ジェニファーコネリーの美貌も一服の清涼剤です。しかしJ.コネリー眉毛太いですね。まるで処理をしてないのはそれが魅力と思っているからでしょうか?気になります。


「コンスタンティン」新作 地味でハードボイルドなオカルト映画 65点
 キアヌリーブス演じるジョン・コンスタンティンというエクソシスト。タバコの吸いすぎで肺ガンを患い、どんなに悪魔祓いで人を救っても一度自殺をしたことがあるため地獄行きが決まっている運命。病んでシニカルでハードボイルドなエクソシストの物語。
 アメコミが原作ですので、漫画に偏見を持ちながらキアヌ好きとか抜かす馬鹿女はマトリックスとこの作品を見る資格はありません。
 地獄と現世の境目を無くしハルマゲドンを起こそうとする大天使ガブリエル。女優の名前は知りませんが、実に中性的で天使の役にぴったりです。神と愛の名の下に狂ったことをする相当に性格が悪い存在として描かれてます。「神は人間という蟻の前で戯れるガキだ」という主人公のセリフにも痺れます。
 最後のクライマックスのところではヒーローが悪をぶっちめるというカタルシスを味わえるものではなくて物足りなさを覚える人も多いでしょうけど、主人公の知略とクールさ加減が僕的には美味。
 キリスト教の知識がないと分かりにくいアイテムが多々登場します。用語解説をネットから拾ってきたので興味のある方は本文の続きをクリックしてください。
 ミュージックビデオ出身の監督が描く映像世界はスタイリッシュで見ごたえがあります。エンドロールで席を立たないように。その後の1シーンは見逃さないほうがよいでしょう。
 キリスト教が嫌いでそれでいて宗教ウォッチャーでオカルト好きでかつハードボイルド好きな僕のツボにはまる作品で、個人的には90点を挙げたいけど、あまりそういうのに関心が低い世間の人が見るとあまり愉しめないでしょう。

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2005.05.02

月1映画レビュー4月編

 月1映画レビュー。今回は新作・旧作入り混じりです。

「スーパーサイズミー」 ある意味、身の毛がよだつ 80点
 ドキュメンタリーの映像監督が1ヶ月間マクドナルドのメニューにある食品だけを食べることを決意。そして自分の身体に起きる変化を3名の医師に診断してもらいつつ、全米で何が起きているかを検証している。1ヶ月、マックだけで食事し、体重が約10Kg増え、肝臓をはじめあらゆる健康指標が病的状態にあると示し始めたところは、正直ぞっとした。自分はマックはほとんど行かないがモスには足繁く通っているから(笑)マイケルムーアーのようにアポ無し取材を強行してマクドナルド幹部から何がしかコメントを引き出せればもっと面白くなっただろう。日本にもこういう映像作家が出てきてほしいなぁ。 


  「東京ゴッドファーザーズ」  割と面白かったけど 50点
 登場人物のキャラはコメディで作画もそれ風なんだけど、背景とかはきわめてリアルでかつ美しく描かれているところがギャップだけど不思議と調和している。
  こういう話が好きな人には向いているのだろうけど、個人的にはピンと来ない。何が足りないかと考えていたのだけど、足りないのは「笑い」だろう。「涙」の 要素もあまり無くて、なんとなく食い足りない印象。この手の話は泣かせて笑わせて欲しいのだけど、薄味で話が進行していく。様々な因果が非現実的なまでに 繋がって人と人との繋がりが復元されていくところは心温まるし、テンポの良いストーリー展開と十分に練られた脚本は見事なんだけどね。なんだろう、「お上 手」という感じで心の琴線に触れなかったなぁ。
 たぶん、大抵の人が高い評価をするだろうから、僕のレビューはあまり気にしないでください(笑)



「ターンレフト・ターンライト」  恋愛コメディ  佳作 70点
 少女漫画のような運命の糸で結ばれた二人がどこまでもすれ違い翻弄されるコメディ。真面目な恋愛映画だと思わず に、コメディと思って見るのがよいでしょう。笑わせるギャグがあるわけではありませんが、シチュエーションが愉しいです。ストーリーの単純さの割に上映時 間が長いのが玉に疵。もう少し刈り込んだらもっと面白くなったかも。最後の荒業には唖然としますが、馬鹿馬鹿しいほどの設定に相応しいので笑って許せま す。

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2005.04.06

月1映画レビュー3月編

 TSUTAYAのオンラインDVDレンタル「DISCAS」でおよそ毎週映画を観る日々。新作がまるで借りられません。「シュレック2」なんてもう1ヶ月以上リストの上位で鎮座してます。もう一回クレームかな、これは。
 保守系ブロガーとのうたい文句を読んでやってきた人はどう思うだろうか?とはいえ、いつも政治の話じゃ息苦しいしねぇ。というわけで、では、以下にレビューです。新作はほとんどありませんので、悪しからず。

嗤う伊右衛門」 質の高いラブストーリー 55点
 四谷怪談を新しい解釈で怪談ではなく愛憎のドラマに仕立てた。「うらめしや」を「I Love You」の意味で、あの場面であのように使うのは粋ですね。
 小雪の演技はかなり良かった。凛とした美しさも気性も内に秘めた「女」も相当に高いレベルで表現できてます。
 セリフが聞き取りにくいのでボリュームの上げ下げに疲れてついにはヘッドフォンで視聴(この方法お勧めです)。ストーリーが分かりにくいので登場人物の名前は繰り返し唱えて忘れないようにしときましょう。そんなところで躓いてしまうには惜しい作品です。映像・演出・ストーリーいずれも深みがあります。
 余計なシーンが多くて肝心なエピソードが削られているようなところは惜しいですね。ラストの東京の街の遠景も意味が分かりません。京極の完成度の高い物語に割り込めなかった監督が押し込んだ蛇足という感じがしてなりません。


クローサー」 何も考えずアクションを愉しむべし 60点
 この映画はとにかく美人さんが盛りだくさんのマトリックス風のアクションをたくさんこなすのを愉しむ映画です。違う何かを期待してはいけません。マトリックス風な衛星システムによるハッキングなどガジェットも雰囲気としては悪くないです。マトリックス風なカーチェイスもスタイリッシュな銃撃戦もカンフーもあり、クライマックスの倉田保昭との日本刀での殺陣も割と良かった。妹役の女性もかわいいし。マリアンを20歳若返らせて香港人にした感じ。ドラマのほうはVシネマクラスだけど、姉妹愛は割といい線いっていたんじゃなかろうか。あれで女刑事がもっとセクシーで美人だったら、なおよかったのだけどね(笑)
 ウィルスに侵入されて会社のパソコンが火を噴く冒頭はちょっと笑ったけど、全体としては割とアクション映画として観られるレベルなのでそこで鑑賞を止めない事をお勧めします(笑)


サベイランス/監視〈特別編〉」  割と面白かった 65点
 まるでマイクロソフトのビルゲイツのようなアンチトラスト法に引っかかりそうな独占企業の社長。そのビルゲイツのような社長に見出された天才プログラマー。ガレージの仲間を離れてマイクロソフト。。。じゃなかったナーブに就職。しかし、そのマイクロソフトのような会社ナーブでは恐ろしい陰謀が進行していたのだ。主人公はその陰謀を白日のもとに晒そうと奮闘するが数々の裏切りとどんでん返しが。果たして彼のレジスタンスは成功しゲイツ。。。じゃなかったゲーリーを打倒できるだろうか?
 と、まぁこんな話。テンポよく話が展開して弛みがなく、裏切りやちょっとしたどんでん返しもあって良く脚本が練れている感じがする。ただ、サスペンスなのだけど緊迫感が足りなくて、日曜の午後にたまたま見たNHKドラマって感じのテイスト。
 暇なときに肩に力をいれずに観るには最適。
 最大の欠点は邦題。原題のANTI TRUSTはマイクロソフトを意識していてIT企業のスキャンダルサスペンスを題材にした映画として当時のアメリカでは最もキャッチ-だったのだろう。しかも「信頼(TRUST)」できないという二重の意味も含まれていて良く出来たタイトルだ。ところが邦題は「サベイランス(監視)」。そんな日本人になじみの無い英単語つかっちゃ駄目でしょ。原題にもないのに。監視は作品の一つのキーワードだけど、オープンソースの理念や同僚・恋人・ガレージの仲間・会社社長を含む取り巻きに対する信頼というのが大事なキーワード。それをあえて外す意図が分からない。悪意さえ感じるなぁ。ピンと来ない邦題に気後れしている人は、あまりそこに囚われずに観てみると楽しめると思います。


インファナル・アフェア II 無間序曲」 佳作 65点
 1作目ほどの緊迫感やドラマは無く全体に薄味。しかし脚本や演出はしっかりしていて無駄なエピソードがまったく無く、テンポ良く退屈なく観られる上、良く出来た群像劇になっている。
 群像劇といえばよいのだが、誰に感情移入してよいのか分からない中途半端さ求心力の無さがあるもの事実。若手二人は描かれ方も演技も中途半端でしかも顔が似ていてどちらがどちらだったかふと見失う。しかも潜入の苦悩が感じられないし。
 よかったのはマフィアのボス役。残酷で一見温厚に見えるほど冷静で切れ味するどいインテリヤクザというのがマフィアの人物像としては新鮮。この強敵をサムとウォン警部がどのように追い落としておくか、というのが物語の主軸。サムとウォン警部を中心とした物語と捉えておけば、肩透かしを感じることもなくすんなり物語に入っていけるだろう。

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2005.02.13

月1映画レビュー2月編

 TSUTAKAのオンラインDVDレンタル「DISCOS」でおよそ毎週2本の映画を観る日々。しかしいつも新作が借りられずに不満。そこでお客様の声を収集するページにてクレームを入れたら速攻で新作「下妻物語」が送られてきた。こんな言ったモン勝ちの世の中でいいんだろうか?(笑)では、以下にレビューです。新作はほとんどありませんので、悪しからず。

「下妻物語」 最高です 90点
 この映画に関しては、ごちゃごちゃ語る必要は感じません。面白いです。ジャスコ最高です。女同士の友情にも感動します。
 主人公モモコが刺繍部だったり刺繍の才能があったりすることがモモコのキャラを強化する上、クライマックスの伏線にもなっている。モモコが嘘がうまく父親から金を引き出すのもクライマックスの伏線となって効いてくる。なぜイチゴが自分の所属する暴走族ではなくモモコとやたらにつるもうとするのか?その謎もクライマックスで明らかになる。茨城統一を謳い拡大路線の族に居場所を見出せなくなっていたのだ。映画の中ではそういうことは少しも説明がないが、ケジメのシーンでのイチゴのセリフで背景が汲み取れる。脚本が実にきめ細かく周到だ。
 馬鹿馬鹿しさを笑いに昇華させるだけでなく、不幸な生い立ちの殻に閉じこもった女性が殻を破って成長する青春物語のフォーマットもきっちり踏まえていて、まったく隙がありません。海外の人に観てもらうべき日本映画は「ハウル」ではなく、こちらのほうでしょう。

「A.I」 あのクマの能力が一番高くね? 20点
 未来社会の暗黒部を少年ロボットが旅をするところがえぐいのだが、むしろだからこそ子供といっしょに観てもよいのではないかと思った。そういうものを捨象した世界こそむしろ実害の大きいフィクションではないか?ただし、相当に悪趣味なので覚悟は必要(笑)
 常に少年を見守るクマがいい味を出している。母親の実の子供と主人公の両方に「おいで」とやられて葛藤の先を「ママー」とそちらに矛先を向けるなんて相当な知恵者ではないか。少年が夢見て追い求める青い妖精も幻想であることを知りながら付き合ってやっているような感じ。
 SF版ピノキオというにはちょっとダークな味わい。映像自体はさすがスピルバーグと言わしめる完成度。
 ラストは蛇足のような。いや、物語的には必要だと思うが、2000年後のET?が突拍子もなくて急にしらけてしまった。

「ドラえもん のび太と鉄人兵団」 やはり子供向けか 10点子供には70点
 映画レビューのサイトでは隠れた名作と呼び声の高いこの作品を観てみた。クレヨンしんちゃんの名作2作に比べると大人視点からは完成度は低いな。
 異星のロボットが地球に侵攻するのをのび太、ドラえもん達で防ごうとするお話。このロボット達というのが非常に帝国主義的で(笑)しかし、リルルという先兵の女の子ロボがしずかちゃんのマリア様的母性にほだされていくところが子供の情操教育にはよかろう、という感じ。
 大人気ない突込みだとは思うが、「そのウソホント」で「ロボットは全滅」と言っちゃえば3秒で戦争終了だと思うけど。ドラえもんの技術のほうがあのロボットの星よりよっぽどオーバーテクノロジーだけどね。鏡面世界とかスモールライトとかどこでもドアとかタイムマシンにワープ。すごいよ。それらを駆使してしずかちゃん大活躍。究極の軍事兵器とはドラえもんの四次元ポケットのことだね。

「インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》」 当時はとても面白かったのだろう。55点
 息もつかせぬめまぐるしい展開、逆転につぐ逆転。面白いと言えば面白いのだが、ハムナプトラを1,2で2回も観て他にも様々な娯楽映画を観て目が肥えてしまった2005年の今の自分にとって、今ひとつ盛り上がれなかった。
 当時のことを考えれば満点に近い作品だったであろうことは想像に難くない。

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2005.01.31

月1映画レビュー

 ツタヤのオンラインDVDレンタルに入会した関係で次から次へとリストに登録した映画が送られてくる。結果、月に4本ー6本の映画をみることに。ちょっとこのシステム疲れるな。よほどの映画ファン向きだね。しかも、近所のツタヤに行かなくなったら会員証が切れてしまった。再度入会手続きを取らないと会員証の再発行はしないという。なんて融通が利かないんだ。DISCASというこのオンラインのサービスだが、新作の在庫が圧倒的に乏しくて、いつまでたっても借りられない。この辺ももう少し改善できないもんか?
 
「新幹線大爆破」  飽きずに最後まで完走 70点
 アイディアとシナリオは非常に良かった。序盤から無駄なく本筋に入るところも良い。妊婦のエピソードはばっさりカットすればあと10分は短縮できてさらに緊迫感が出たんじゃないだろうか。ダイナマイトを調達し捕まって新幹線で護送される男のエピソードも全体から観ると不用だな。逆探知の現場とかいらない場面がちょこまか多いかな。フランスで公開して大ヒットしたという短縮版を観てみたかった。
 新幹線のミニチュアがあまりにしょぼいのと車両内のパニックの描き方が今ひとつかな。いまリメイクしたら相当に良い作品になりそうだけど。こういうところは、やはり時代の壁か。DVDの予告編を観ると演出にはどっぷり時代感が。
 一愛国者としては新幹線に関わる技術の高さ、わずか半日足らずで犯人を割り出し追い詰める警察の優秀さが十分に描かれていて満足。

「MIND GAME」  なんといっていいのやら 50点
 まず正統派のアニメではなく、どちらかというとカルト系だということを観る人は注意したほうがいいだろう。ストーリーは単純なので話についていくことはそんなに難しくない。だが、前衛的な演出についていけるかどうかは観る人の感性次第かな。
 ラストがちょっと分かりにくいな。
 自分を殺して思い通りに生きられなかった主人公を始めとする登場人物たちは、最後に自己の穴倉から離脱して自由な生き方を追求し始める。そんな話。自分らしく自由に生きるべし、というテーマが直接話法で語られていてちょっと気恥ずかしい。
 画は人によっては汚いとすら感じるウマヘタなTaste。ストーリーのスピード感にあってるんじゃないだろうか。画はリアルで綺麗であればいいというものではないだろう。あくまで二次元なのだから現実をいかに抽象化するかが勝負なのだ。誰もサザエさんやトムとジェリーを押井守とプロダクションIGにリメイクしてもらいたいとは思わないだろう。

「天使にラブ・ソングを」  楽しくて時間を忘れた 80点
 最初、主人公が修道院に入ってへたくそな聖歌隊の指揮者になるところまでがちょっとテンポが悪いが、そこからの展開はスピーディでかつ愉快だ。お堅いシスター達が変わっていくところやロック調のゴスペルを気持ちよさそうに歌っているところは、観ていてにんまりしてくる。ゴスペルの曲も非常に良くて、いっしょに歌いたくなる。エンドロールも愉しい。
 疲れているとき、元気がないときにどうぞ。娯楽としての映画とはまさにこれです。

「おばあちゃんの家 」  嫌味なく大仰さなく心温まる話 75点
 都会の鍵っ子で躾のなってない子供が超ど田舎で耳が聞こえず喋ることもできないおばあちゃんの家で2ヶ月くらす物語。映画は90分くらいで実際に描かれている時間は2週間くらいに感じられる。
 そら、ここで泣けと言わんばかりの押し付けがましい演出は無い。物語は淡々と進み淡々と終わる。暴れ牛のいたずらがばれた時のエピソードでおばあちゃんの胸のあたりを撫で回す仕草の意味が分かって、おばあちゃんのけなげさに涙が。市場から孫をバスに乗せて自分が歩いて家まで戻ってきたのにも涙。とどめに最後、子供がおばあちゃんに絵葉書を渡す。文盲のおばあちゃんのために書かれた絵葉書を見たとき、わがままな都会の鍵っ子に芽生えた思いやりにきっと何かを感じるでしょう。おばあちゃん子だった私は不覚にも涙が止まらず。
 主人公の子供、ちょっと泣きの演技がいまいちだったけど、おばあちゃんや周辺の登場人物の演技は実に自然でよかった。

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2005.01.08

映画レビュー

「60セカンズ」    タイトルにあまり意味なし 40点
 車泥棒の話ですが、盗みそれ自体にスリルとか新鮮味とかカタルシスはありません。60セカンドもあまり意味を持ってません。なんの展開もなく、あっという間に目標50台のうち48台が簡単に揃います。駄目弟グループのヘマで足がついて警察とのカーチェイスにならなければ、見事な腕前で数時間(映画内では5分)で見事に50台盗みました、ちゃんちゃんです。
 この映画の主眼はカーチェイスを見せる事。そこだけはかなりの仕上がりです。ストーリーはあって無きが如し。この映画はここだけを観ましょう。映画終盤のカーチェイス以外は、食事とか何か他の事をしながら観てても映画についていけます。
 アンジェリーナジョリーすごい存在感です。すごいですねこの人。でもこの映画では主人公の元恋人で相棒というだけで、見せ場はほとんどありません。


「パーフェクトワールド」  クリントイーストウッドが邪魔 50点
 犯罪者と少年の誘拐逃亡劇。少年との心の交流が心温まる感じでよかった。全体的に脚本はよく練られているほうだと思う。しかし、追いかける側であるイーストウッドをはじめとする側に描写に時間を与えている割には物語やテーマに何も寄与してない。嫌味なFBIとか知事がどうしたとか、そういうのは削って、ケビンコスナー演じるブッチの幼年期のトラウマにもう少しスポットを当てても良かったのではないか。イーストウッドの見せ場を増やすために、映画全体のバランスが崩れているように感じた。
 芯に心根の優しさを持ちながら世界の歪みに翻弄され、秩序ある世界=パーフェクトワールドから最後まで阻害された主人公。少年との友情が、そんな彼への最後の救済になっていて、物語全体の後味は悪くない。


「ダーティハリー」   確かに渋い 60点
 イーストウッド演じるハリーは確かに渋い。常に冷静で静かな語り口。市長や上司のような権力にもなびかない反骨。この映画でのハリーは超人ではなく等身大の人物に描かれていて好感が持てる。いつもダーティな仕事を押し付けられている理由が映画の中ではもう一つクリアに描かれてないが、優秀で独立独歩で正義感が強い人間が組織の中で疎まれるが、それでいて依存されてる、というのは理解できる。
 犯人を捕まえながら礼状の無い逮捕ということで犯人を無罪放免してしまう検事。人質をとった犯人に妥協して手出しを禁ずる市長。そういう困難な状況にありながら命令違反を犯して犯人を追い詰め、最後には警察バッチを投げ捨てる。主人公の人物像もストーリーも警察ハードボイルドの理想型。
 しかし難を言えば、演出のせいか、盛り上がりにかけて、さらっと終わってしまった。特にカメラワークと音楽がいまいちだったかな。映画に入り込むには時代の壁を感じた。

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2005.01.02

24 SeasonⅢ

「24 SeasonⅢ」 95点

24 SeasonⅢを年末休暇中に一気に観た。
 最初はちょっとお間抜けな展開に見えたり、どうも敵が小粒な感じがしたけど、通してきちんと見てみるとなかなかどうして、実によく練られた脚本で非常に感心した。毎回1時間終了間際に緊迫した引きを作って終わるところも見事。
 総合的には、核を爆発させてからはテンションが失速したSeasonⅡよりは良い出来だと思う。特にウイルス兵器の被害が出る中盤あたりからドキドキして時間を忘れた。やっぱ核より細菌のアウトブレイクのほうが演出にリアリティが出るね。

 「24」のようにTeamでストーリーや演出を練り上げていく作品のクオリティは、時として1作家の水準をはるかに越えていくのかもしれない。新しい時代のストーリーテリングを予感させる。

 難を言えば、

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2004.11.28

映画レビュー

最近TSUTAYA DISCASというオンラインのDVDレンタルに入会した。こういうサービスは近所に大きなレンタルビデオ屋が無い過疎地の人に向くのだろう。しかし、朝から深夜まで仕事をし、休日は友人と出かけるか仕事か寝てるか。せっかく借りたDVDも延滞料が発生するまでなんとなく返しそこねたり。そういう多忙とものぐさが相乗効果を発する僕のような人間に向いているのではないか。そう思ってTRY。
DVD8枚まで月額固定1,987円だから期限内に観て返さなければという義務感もないので気楽。なんで借りてきたものを観なかったか。それは義務感すら漂っていたからものぐさを誘発したのだ。却ってきちんと観て返すようになってしまった。気が付けば郵便受けに入っているし、返すときは通勤のついで。このへんも僕のようなものぐさ太郎にぴったり。もう少しオンラインで在庫豊富なメリットを生かして新作がもっとさくっと借りられれば最高なんだけど。1週間レンタルが1枚あたり370円だから月内に5-6枚で元が取れる。うーん11月はいいペースで観たけど6作品が限界だな。

では、以下に見た映画のレビューを行ってみよう。

続きを読む "映画レビュー"

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2004.06.27

「24 seasonⅡ」 

 「24」のSeasonⅡを観た。80点。
 DVD Boxを大人買いして一気鑑賞。今回はどんでん返しとか少なく、家族のエピソードも本筋とうまく絡んでない。しかし、全体として脚本は良く練られていて、観ていると時間を忘れる。

 以下はネタばれを含んでいるので、まだ観てない人は読まないように。

 戦争を望む黒幕が核爆弾テロを仕掛ける。それが中東3国のテロと見せかけられており、アメリカは偽の証拠で戦争に突入しかける。こうして観ていると、何か似たような話があったな。9.11テロはそれが実行されることが事前に分かっていながら、止めなかったそうな。現実のCTUにジャック・バウアーは居なかったわけだ。大統領はTVの黒人大統領ほどには忍耐強くなかったということか。つーか、現実のアメリカ大統領は止めなかったどころか自分で画策したという疑惑もあるけどね。TVでは黒幕のねらいは石油特需。軍事特需とすれば、さらにリアルだったんだが。
 こういうTV番組が作られるということ自体、アメリカの良心による告白って感じがする。

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2004.05.16

イエスタデイワンスモア 「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! おとな帝国の逆襲」

 名作・傑作という呼び声の高い「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! おとな帝国の逆襲」を観た。65点。
 春日部に突如出現した20世紀博というテーマパーク。懐かしの1970年。まだオイルショックも知らない高度経済成長真っ只中で、大人も子供も未来に明るい夢と希望を持っていた。しかし現実の21世紀はどうなのか? 未来に希望を持っていた子供たちは、くたびれた大人になっている。もう一度あの日に帰りたい。未来に素直に夢が見られた、あの日々へ……。20世紀博で大人たちの郷愁を煽った秘密結社イエスタデイ・ワンス・モアは、日本中から大人たちを拉致。世界全体を「あの懐かしい時代」に戻そうとする。イエスタデイワンスモアは「あの頃」の”匂い”で大人たちを洗脳し、子供に還す。そして街から大人が消える。
 クレヨンしんちゃんのお父さん(ひろし)は、自分の靴のくさい匂いをしんちゃんに嗅がされて我に帰る。朝から夜まで履きつづけて外回りまでこなした靴の臭さは大人になって擦り切れた社会生活の証。しかし、そうして守ってきた家族との絆の証でもある。ひろしは家族の絆を思い出し家族とともにイエスタデイワンスモアの陰謀阻止に立ち上がるのだ。家族との21世紀の未来を信じて。
 
 僕はこの映画の中で思いがけず自分が拒絶されていることに気が付く。そして秘密結社「イエスタデイワンスモア」のリーダーに自分を発見する。たとえば最近は80年代の音楽を喜んで聞く。休日となれば友人と朝までカラオケに興じたり、深夜にふらふらとドライブに出かけたりする。家族を持つことも親との交流すら疎んじて気ままな生活に興じる。モラトリアムの大学生のように。うさんくさい21世紀の中で未来を志向せずに生きる。
 つまり僕はクレヨンしんちゃんとその家族の敵、「イエスタデイワンスモア」だったんだ。

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