2007.08.17

麻生太郎「とてつもない日本」

 外務大臣であり次期首相候補でもある麻生太郎議員の「とてつもない日本」を読んだ。
 日本とは何か?という答えには3つある。それはアジアのThought LeaderでありBuild-In Stabilizerであり他の諸国家との関係に上下関係を持ち込まずPeer to Peerを志向する国家であるということだ。そんな風に語る麻生氏のこの回答には非常に頷ける部分が多い。  ただ唯一難を言えば靖国神社を国営化しようという案は決して反対ではないものの「うーん」と唸ってしまうな。

 印象的だった文章を以下に引用してみる。

祖父・吉田茂は、私が幼い頃、よくこんなふうに語っていた。
「日本人のエネルギーはとてつもないものだ。日本はこれから必ずよくなる。日本はとてつもない国なのだ」-----。
私はいま、その言葉を思い出している。

反日感情が高まって、中国重慶のサッカー場で凄い騒ぎになったのとほぼ同じ時期に、谷村新司さんは上海で十万人を集めて野外コンサートをやった。エンディングで歌ったのが「昴」。観客の90パーセントが、スタンディング・オベーションをしながら、日本語で歌ったという。騒ぎを起こしたのも中国人ならば、「我は行く~」と大合唱したのも中国人である。

私は昭和十五(1940)年、戦争の始まる前年に生まれた。多くの若者から見れば「じいさん」に違いない。しかし、その年に生まれたのが、あのビートルズのジョン・レノンだと聞いたらどうだろうか。彼と私とは一ヶ月しか誕生日が違わない。不幸な亡くなり方をしたけれども、健在だったら、きっと彼はまだ新しい音楽を作っていただろう。思いっきり単純化していえば、「老人」と一口に言っても、すでに俳句や詩吟よりもロックンロールの世代になっているのだ。

日本は不況といわれ、格差が拡大したと言われながらも、相変わらず世界第二の経済大国であり、貿易収支、経常収支ともに黒字なのは先進国の中では唯一日本だけだ。しかも、犯罪発生率は最低、特許取得率は一番、外貨準備高も一番。数字で見れば日本が「とてつもない力」をもった国であることは一目瞭然である。これで将来を悲観するほうがどうかしている。かつて、あるイギリス人が「日本が不況というなら、その不況を輸出してほしいものだ」といったという。外国人から見れば、90年代の日本ですら、どこが不況なの?ということだったのである。

戦争で大負けをして国内外に多大の迷惑をかけたのに、「価値の外交」とはまた、いつから他人さまに説教するという得を身につけたのか、と・・・・・・。特に、「日本は孤立している」という人たちから、こんな反応が返ってくることだろう。それは承知している。しかし、それは鏡に映る自分を、ニセモノだ、こしらえものだと思いたがる、一種の病癖である。

 安倍首相ほどイデオロギッシュで無いぶん、素直に人をひきつける。美しい国というと、なんだか息苦しく感じる人も、こんな風にあっけらかんと自己(自国)肯定を語られると、むしろ清清しさを感じる人も多いだろう。

--------------------------------
麻生議員には大いに期待、という方は以下のバナーをポチッとお願いします。
人気blogランキング

続きを読む "麻生太郎「とてつもない日本」"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.11.20

美しい国

 そういえば安部首相の「美しい国へ」を以前に読んだ感想を。

美しい国へ
美しい国へ
posted with amazlet on 06.11.14
安倍 晋三
文藝春秋
売り上げランキング: 546

 タイトルの美しい国というのは、以前にも書いたけど、実にふわふわしたスローガンで居心地が悪い。ただ、中身は平易な文章で実に簡潔に自らの思想 である保守としてのスタンスや、政策とそれにまつわるであろう論点への持論が分かりやすく率直に述べられている。私はこう思うという主張であって、論証は 一切省かれているから、おそらく中学生でも易々と読めてしまうだろうし、それを意図して書かれたのだと思う。保守政治家を志す青年にとっての教科書のよう に、保守の論点が網羅された入門書のようでもある。
 主張に対する賛否はともかく一国の首相になった人が現役の時にどういう考えと想いでいるかを引退後ではなく就任前に綴ったという点で貴重な歴史的文献になるだろう。賛否両論はあるだろうが読んでおくべき本であるには間違いない。

--------------------------------
いっちょ読んでみるか、という方は以下のバナーをポチッとお願いします。
人気blogランキング

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.11.15

自民党改造

 世耕弘成の「自民党改造プロジェクト650日」を読了。

自民党改造プロジェクト650日
世耕 弘成
新潮社
売り上げランキング: 56053

 面白くて一気に読めた。サラリーマンで業務改善プロジェクトとか関わっている人であれば、世耕氏の 改善マインドと事態を打開していった爽快感に共感を持って読み進むことができるだろう。先の見えない改革プロジェクトが参議院選挙の敗北から一気に加速し て劇的な大勝を収めた衆議院解散総選挙に繋がるところまで。さらには今後の課題やさらなる改革案も漏れなく書かれている。
 改革の遂行に自民党職員が非常に重要であるという話が意外でもあり面白かったところ。自民党職員と深いつながりを持てば、様々な情報も入ってくるし権 力の掌握に繋がるとまで書いてあって、自民党関係者なら読んで冷や冷やするのではないかというところまで踏み込んで書いているところが世耕氏の自信の現れ ではないかと思う。
 こういう著作自体が広報のようなものだろうから、明かせない舞台裏もいろいろあるのだろうけど、それでも実はそうだった的な裏話がてんこ盛り。 衆議院解散総選挙は刺客選挙と揶揄されたが、大量の候補者擁立には実際には以前から行ってきた自民党の候補者公募制が効いたのだとか、その公募制には自民 党内部からの反対も多かったとか、その反対論の生々しさとか、世耕議員と安部新総理の小泉内閣時代のつながりとか、拉致一本と見られがちな安部新総理の自 民党改革における実績であるとか、マスコミ視点の幼稚さと比較して、リアルな政治のダイナミズムとその醍醐味を3時間フルコースで堪能できる。衆議院解散 総選挙あたりは世耕議員の前回の著作と若干被る部分もあるけど、前回の著作で表した広報戦略は彼や最近の自民党の新しい姿の一面に過ぎないことが分かる。 現在の自民党のありように関心のある人にはお奨めです。広報用に美化されているのでバイアスには注意して呼んでください、というのはメディアリテラシを身に着けた大人なら言わずもがなということで。

--------------------------------
世耕議員には頑張ってほしい、という方は以下のバナーをポチッとお願いします。
人気blogランキング

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.05.07

中学生はこれを読め

 本屋のオヤジが中学生に薦める本のコーナーを作ってないことに気がついて、中学生はこれを読めリストを作成し、それが全国に波及しているそうな。 
 文学でいえば中島敦が入ってないことに愕然とした。文章も作品自体も短く簡潔で何度も読み返して味わえる本物の文学。例えばスティーブンキングの「刑務所のリタヘイワース(ショーシャンクの空に)」のように感動するけど、それだけという底の浅い物語は所詮映画の種本レベルであるということ、本物の文学はどれほどの凄みを持っているかを平易な内容で教えてくれる作家なのに。
 山本周五郎も入ってない。     藤沢周平は入っているのにどうしてだ?とりあえず「さぶ」を読ませて山本周五郎の人間描写の凄さと無償の行為が持つ至上の価値に触れさせることが貴重な体験になるだろうに。池波正太郎も無い。ありえねー。
 思想でいえば、中学生にはちょっと毒っ気が強いが岸田秀の「ものぐさ精神分析」は必読だろう。共同幻想という概念は世界を読み解く上で貴重な概念(発案は吉本隆明だけど人類の起源論に応用する視点が目から鱗)。これも入ってない。
 SF小説も光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」が無い。SFだからこそ表現できる時の無常観。名作中の名作なのに。

 めすねこさんは、リストが左寄りと言っているけど、それも大所高所からの歴史観で本当の意味で庶民を見つめてないから山本周五郎も池波正太郎も見逃しているのだと思う。左寄りだけど真の意味ではリベラルじゃない感じ。
 映画の原作が多いところが迎合的だし、漫画論はあるのに漫画は薦めないのもなんだかなぁ。本屋のくせに。
 中学生は人間の基礎を作る時期でもあるので、何かの教化のための本を読ませるよりも世界の深みに気づかせるような本をもっと与えてやって欲しいと思う。そのほうがきっと尊敬されもするだろう。大人が薦める本で「戦争のつくりかた」なんてあると、ああこのおっさんおばはんは戦争はいけないことだと考える純粋な若者であって欲しいわけね、って底の浅い考えを鼻でせせら笑うような子供が本当の読書家だと思う。

--------------------------------
実際のところ、こういう課題図書みたいな大人からの押し付けリストなんざクソクラエとリストに無いような本ばかり読んでいるようなガッツのある少年少女が好き、という方は以下のバナーをポチッとお願いします。
人気blogランキング

| | コメント (11) | トラックバック (1)

2006.04.26

憲法学

 政治学者の小室直樹先生は渡辺昇一先生と同じくお勧めの保守論壇を代表する学者。その小室先生が憲法に関する本を2001年に出されているので憲法記念日を前にして、この本を薦めたい。内容は非常に啓蒙的で読みやすい。
 小室先生は以下のように問いかける。
 今の日本は民主主義国家ではなくなっている。何故そういえると思うか?
 日本国憲法は生きているか死んでいるか?
 憲法とは誰のために書かれた法律か?
 刑法とは誰のために書かれた法律か?
 刑法は殺人や窃盗を禁じてない。どうしてそういえるのか?
 刑事訴訟法は誰に対する命令か?
 近代裁判では事件の真相など知る必要はない。何故そういえるのか?
 なぜ近代は「国家はリヴァイアサン(神でさえ恐れる怪物)である」と考えるに至ったのか?
 民主主義と議会は本質的に無関係である。何故そういえるのか?
 絶対主義を倒し民主主義をもたらし世界史を変えた天才とは誰か?
 キリスト教予定説を信じるプロテスタントの登場が近代の扉を開いた。何故か?
 民主主義と資本主義はキリスト教を母体とする双生児。何故そう言えるのか?
 17世紀の人でありながら18世紀を支配し民主主義と資本主義を生み出し世界史を変えた思想家は?
 社会契約説の思想によって生まれた国家とはどこのことか?

 
 さて、小室先生の質問にいくつ答えられましたか?
 え?半分くらいしか分からなかった?では、以下の本を読むしかないですね。

痛快!憲法学 ― Amazing Study of Constitution & Democracy
小室 直樹
集英社インターナショナル (2001/04)
売り上げランキング: 9,843

 意表を突く質問と回答が若干極論風味な点もちらほらなくはないが、そこは庶民向けの啓蒙書、愛嬌の一部ということで。小室先生は愛嬌のつもりではないかもしれんけど(笑)憲法の条文を取り上げてどうのこうのという解説はほとんどなくて(笑)、何ゆえそれが生まれたのかという歴史と背景から説き起こしている点もユニーク。特に民主主義が如何にして生まれたのかをきちんと説き起こしていて優れた入門書になっている。この本も「さおだけ~」と同じで、いわゆる入門書の入門書ですけど。しかし書いてある内容は小室先生の思想のエッセンスが散りばめられていて、侮れない名著。対談形式で思想史に疎い素人編集者が小室先生に叱られながら講義を受けるスタイルで非常に読みやすい。とっつきやすくするための工夫なのか漫画「北斗の拳」のイラストが各章に。邪魔なことこの上ないが、それはスルーの方向で(笑)

--------------------------------
GWは憲法の勉強をしようかしらん、という方はバナーをポチッとお願いします。
人気blogランキング

Dokdo Link : takeshima dokdo dokto tokdo tokto

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.04.10

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
山田 真哉
光文社 (2005/02/16)
売り上げランキング: 26

 いまさらながら、世間の人に一歩遅れてベストセラーを読む。さおだけ屋が潰れない話から売上・費用・利益の関係や商売で利益を出す基本を、ベッドタウンに高級フランス料理店の謎から連結経営の概念を、在庫だらけの自然食品店の謎から在庫管理と資金繰りの話を。そんな感じで企業活動や商売に必要不可欠な会計の話を分かりやすく読者に飲み込ませていく。 うーん、さすが面白い。キャッシュフロー会計まで押さえられているのは感心。
 入門書というと専門用語を図や漫画まで使って平易な言葉で分かりやすく解説するというアプローチのものが多いが、そんなことをしても本質をつかませることはできない。会計を会計として説明する前にそれが実社会でどのような関わりを持っているかをまず掴ませる必要があるのだ。実感と内発動機を喚起させるために。こういうアプローチはすべての入門書が見習うべきだろう。
 自分だったらここまで分かりやすくしかもツボを得たことを言えるだろうか、と考えると感心する良書。しかし学生や子供に薦めたい本であって、いい大人、それも企業に勤めるビジネスマンが買うには相当に恥ずかしいくらい、ものすごく初歩的な事が解説されている入門書のさらに入門書なので要注意。

--------------------------------
小沢民主党が誕生するも興味なし。死ぬまでママゴトやってなさい。
連休前後あたりから本格的に復活するかも。
人気blogランキング

Dokdo Link : takeshima dokdo dokto tokdo tokto

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.01.11

『朝日ともあろうものが』

「朝日」ともあろうものが。
烏賀陽 弘道
徳間書店 (2005/10/22)

 

 書店で『朝日ともあろうものが』という本が目に入った。表紙を見ると、サラリーマン風の男が新聞を開いて、セリフの吹き出しが『朝日ともあろうものが』。いかにも朝日新聞が一流のクオリティペーパーであるというトンデモな誤解を前提としながらも外部から苦言を呈するといった風に見える。しかし、まえがきを読んでみると全く違っていた。

編集部で仕事をしていると、読者から「一言モノ申ス」電話がかかってくる。(中略)その第一声が決まって「朝日ともあろうものが」なのである。(中略)これほどぼくを当惑させるせりふもなかった。というのは、電話を切ったぼくが次に目にするのは、経費やタクシー券をチョロまかす同僚であり、記事の捏造を部下に強要するデスクであり、(中略)社用ハイヤーで奥様とフランス料理を食べに出かける幹部なのだ。いったいこの人たちのどこが「朝日ともあろうものが」なんだ。(中略)もとよりぼくは朝日の論調に反発して退社したわけでもない。このまま朝日新聞社にいては、自分が職業人として成長できない。ダメになってしまう。そういう個人的な絶望感が主な動機だった。

 うーむ、なるほど。前書きのこのくだりを読んだ時点で僕は迷わずこの本を書店のレジに持っていった。朝日新聞の偏向ぶりや記事捏造などは食傷するくらい方々で見聞してきた。主に保守系論壇などでよく取り上げられた。しかし、この本は、それらとはまったく角度が異なる。朝日の左翼的な論調に反発してではなく、純粋に彼らの腐敗ぶりに我慢なら無くなった元社員の内部告発本なのだ。
 本を読んで感じたのは、新聞社に勤めている人間がどんなに善良で誠実でも構造的に腐敗せざるを得ない状況におかれているのだなぁということ。で、記者クラブでの接待を通して企業や権力に飼いならされていく。なんだか同情すらしてしまう。会社ぐるみでサヨク偏向しているのかとも思ったが、以下の文が印象的だった。

「朝日は偏向しているのではないですか」(中略)と尋ねられることがある。(中略)やれ朝日は労働組合や「左翼」(そんなモノ、まだあるのかね)に甘いとか、やれジギャク史観だとか、そんな月並みな、誰でも知っているような話を期待していたのだろう。まあ、社説だとか、そういう上層部の人が書くものはそうなのかもしれない。ぼくの判断はここでは保留する。だが、ぼくのような現場の記者を悩ませ続けたのは、そんなわかりやすい偏向ではない。もっと矮小で、エゴイスティックで、誰にも気づかない、よって批判もされない、大規模で日常的な偏向なのである。

 社としてある論調を持っていること、立場を明確にすることは、それ自体悪いことではない。朝日がサヨク寄りでも労働組合への目線がやさしくでもぜんぜん問題ない。朝日の場合、そういう方向への偏向と世論誘導、捏造が多いことに問題があるのだが。それにしても、そんなレベルの問題ではない。そんなことよりも日本社会にジャーナリズムが消失する根本的な危機的状況にあるとこの本では訴えている。
 感心したのはアジェンダセッティングがジャーナリストの必須能力、と語っている点。アジェンダセッティングとは今何が問題なのかという論点を見出していくこと。いまこういう事実がありますがどうですか?と読者に提示して価値判断はしないのが本当のジャーナリズムだと筆者は言う。たしかにそのようにプロのジャーナリストならではの視点で事実を提示して、どう思うか読者に委ねられれば、床屋政談にせよブロガー同士の議論にせよ、もっと素直に世論は喚起され、マスコミと読者の健全な関係は担保されるだろう。ちなみに内田樹は朝日の押し付けがましさに嫌気がさして購読を辞めてしまったそうな。それは朝日的な価値観の押し付けであり、従来の朝日嫌いブロガーなら朝日サヨク偏向で片付けてしまうが、リベラルの内田氏にも「読むとなんだか腹が立ってくる」と政治的に無垢な内田氏の母親にも朝日がそっぽを向かれてしまうのは、朝日サヨクマンセーで片付く話ではない。記事に安易な価値判断を行い大所高所から論じて価値判断を押し付ける傲慢さは安きに流れる安直さであって、それはアジェンダセッティングの能力を喪失しているからというのが真相であろうと著者の洞察が教えてくれる。
 マスコミに起きている本当の構造的な腐敗に知見を得たければ、この本はお勧め。

--------------------------------
マスコミの腐敗・弱体化は深刻な問題だ、と思った人は以下のバナーをポチッとお願いします。
人気blogランキング

| | コメント (7) | トラックバック (1)

2006.01.02

『CM化するニッポン』

         







 上の本を読んだ。見えない広告のやり口などはこれまでも方々で言われてきたことで内容は取り立て新鮮味が無いが、2005年の最新の事例を取り上げて広告業界の裏事情が良くまとまっている。ブロガーはマスコミを傲慢な強者として容赦なく批判することが多いが、実際にはマスコミは広告主の大手企業広報に手のひらの上で踊らされているというような裏話。
 自分が単に不勉強なのかもしれないが、新鮮だったのは、地上波デジタル放送もなぜそれを行うかと言えばVHFを携帯電話に明け渡すため、という点。それを国策として決められた。つまりTVはマーケティングの主役から陥落したと。こういう暴露話が出ること事態が、既存の新聞、TVなどのマスコミが斜陽産業化していることの証左であろう。
 「負け組」であるローカルのテレビ局は売り上げを確保するために、消費者ローンやパチンコ屋、宗教団体のCMを大々的に取り上げて売り上げを確保するしかない、というくだりには慄然としたな。地方経済の活性化がないと地方が更にサラ金と北朝鮮資本と宗教団体で荒廃していくということか。あるいはローカルのテレビ局の存在が不要の生き方を地方の方々が選択されれば良いのだが。結局、消費者民主主義の高度資本主義社会の中で我々は生きている。消費者として賢明になることで世の中を変えていくことが最も力のある世界の改革ということなのだろう。

--------------------------------
やる気燃料の1クリック。
メディアリテラシには広告のカラクリ理解が必須と思われた方は、ポチっとお願いします。
人気blogランキング

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.11.21

下流社会2

 前回の続き。
 上位階層にノーブレスオブリージュの概念があれば、階層社会も悪くない。そんなことを言ったわけであるが、今の日本の上位階層にあるかといえば非常に疑わしい。マスコミが増幅するほど上位階層の腐敗と言う話ばかりでもなくて、決して無いかといえばそんなこともないのだけど。実際、日本の政治・経済・司法・官僚などそういう層から人材が輩出されて日本を支えている率はおそらく高いだろう。ただ、階層社会を肯定できるほどの倫理・使命感の強さ、というか、そもそもノーブレスオブリージュというコンセンサスは感じられない。機会平等が担保されずに階層が固定化され、人間性のレベル、つまり希望・願望・欲望・意欲のレベルから階層によって異なる社会になっていく可能性のほうがむしろ高いであろう。『希望格差社会』『下流社会』は、そんな社会がとっくに到来していることを告げる闇からのエバンゲリオンなのだろう。
 であれば、結果悪平等の社会を求めるしかないのか?社会主義的な政策を採って小泉・竹中を政治から追い出してグローバル競争から取り残されても、緩やかに沈没していく道を選ぶほうが痛みが少ないのだろうか?
 これに対して確固たる答えは僕の中には無い。強いて言えば、自分のこれまでの経験と知見から来る直感がある。社会主義的な結果悪平等の社会も、階級差が固定化した機会不平等の社会も、変動性がなく膠着しているという点でいずれも将来性は無いと感じられる。また、資本主義競争社会がグローバル単位で押し寄せる中で鎖国的で社会主義的な結果不平等の社会に回帰することはできないであろう。成果主義人事制度の失敗を味わった成果主義否定派の元富士通・人事部員である城繁幸氏ですら、もはや成果主義以前には戻れないので日本式の成果主義を考え出さなければならないと言っている。それが現実なんだ。みんなが等しく未来に夢を見ることができたあの懐かしい世界。それが今と比べて如何に素晴らしく見える社会であっても。それは失われた楽園。懐かしき「3丁目の夕日」なのだ。小泉改革を悪し様に罵り階層社会への脅威・恐怖を煽るのは懐古主義者であって、「秘密組織イエスタデイ・ワンスモア」なのだ。時の流れを止めて変わらない夢を見たがるもの達と闘わなければならない。それがかつてと比べてどんなに暗い社会であっても。機会平等社会の確立を目指して。
 政治系ブロガーとしては、この本で語られる「団塊ジュニア男性の下は政治意識が高くフジテレビと自民党が好き」という部分を見逃してはならないであろう。著者の三浦氏は「香山リカの言うプチナショナリズムの風景か?」、と簡単に片付けている。しかし階層社会の閉塞感を突破することを願う層が無意識に政治にその希望を見出しているとは言えないだろうか。下流社会に属しながらも政治意識の高い若い層が政治について真面目に考えたとき、やがて体制内改革、自らが政治家や官僚などを志して世の中を良くしようとする若者が下流から現れる。というか既に現れている。そう杉村大蔵だ。内容はともかく(笑)彼はニート・フリーターの代表であると自分の階層性を自覚している。下流の意思・意欲を掘り起こし、彼らに機会を与えるための政治的契機を模索している。なんという着眼点であろうか。おそらくこうした背景を知悉した世耕議員あたりの入れ知恵でもあるのだろうが、杉村大蔵こそある意味、下流社会の時代の寵児でもあるのだ。
 お金お金と言いながら固定化しかけた階層を能力で突破して成り上がり、いまや溢れんばかりのお金を手に入れて、それでも充分に満たされない自分に気づき、やがてノーブレスオブリージュの萌芽を心に抱え政治を志すものも上流から出てくる。そうホリエモンのことだ。内容はともかく(笑)
 だからこそ僕は彼らを基本的に支持する。固定化しかねない階層社会に本当の意味で風穴を開けられる可能性を持ったそれぞれの階層を代表するタレントとして。中身を見れば批判すべきところだらけであるが、彼らが時代の何を抱えて何を突破しようと試みているかをきちんと見なければならないだろう。
 階層とは収入であろうか。下流といえど、北朝鮮や飢えたアフリカ諸国からすれば貴族のような生活をしている多くの下流日本人。年収300万円がある種のボーダーラインだそうな。親にパラサイトして実質家賃・光熱費に該当する支出を押さえ込んでいる人間は年収が300万円を割り込んでも実質生活レベルは同等以上だろう。衣食はまったく足りているのだ。そこさえ確保できていればそういう時、人はお金よりも社会における自己実現や社会的承認を欲する。特に団塊ジュニア世代は、上流、中流とわが身を比べたときの相対的な不幸は「瞬間的な盛り上がりやら何やらを介して適当にやり過ごすことができる程度にタフ」であり、プチナショナリズムだのネットウヨだのと言われながらも、不当で不正な世の中への強い関心を維持し続ける人も多い。危険でもあるが、同時に希望でもある。偏ったナショナリズムへの傾斜でもあるし、政治意識のすぐれて高い国民の誕生でもある。不当な階層社会の搾取に喘ぐ存在でありながら、同時にフランス革命時の王族に対するブルジョアのような貴族的知識人の懊悩を抱える存在でもある。固定化した階層社会を突破して社会を揺るがすものがいるとしたら、やはりここから生まれてくるのではないかと思う。

--------------------------------
ランキングがやる気の維持にすごく影響します。
苦労して書いたことがみなさんの心に伝わっているかどうかを実感できるからです。
ぜひ、愛と誠意の1クリックを以下のバナーにお願いします。
人気blogランキング

余談だけど、

続きを読む "下流社会2"

| | コメント (3) | トラックバック (1)

2005.11.20

下流社会

下流社会 新たな階層集団の出現 いまベストセラーになっている「下流社会」。読む前にサラリーマンの平均年収を確認してみた。僕は東京に住む37歳のサラリーマンだから、えーと、自分のカテゴリーだと‘東京都で34歳から39歳 752万円’。これが平均か。東京は地方に比べて1.47倍ほど年収が高いんだそうだ。田舎だと500万円相当か。物価とか特に土地はもっとずっと高いから相殺すると年収500万円で田舎に住むほうが生活レベルははるかに上なんだろうけど。大企業の社員(給与水準)で地方勤務が一番良い生活をできるんだろうな、きっと。ともあれ、とりあえず平均はクリアしているから自分って中流?ところが読んでみると実際の収入には関係なく生きる意欲が低い人間は下流社会の住人なんだそうだ。
 下流度チェックをやってみた。その日その日を気楽に生きたい(無理だけど)、自分らしく生きるのがよい(難しいけど)、好きなことだけしていきたい(無理だけど)、めんどくさがりで出不精、一人でいるのが好き、ファッションは自分流、ファーストフード(モス)を良く食べる、1日家でネット(と読書と映画)で過ごすことが割とよくある、33歳以上で未婚。12個のうち9個も当てはまった。うぉぉ、ばっちり下流社会の住人じゃないか俺。ぎゃふん。
 下流とは「中の下」くらいのことを指すのだそうだ。ふーん。本の中で言う4つの類型(上位階層から順にヤンエグ系、ロハス系、Spa!系、フリーター系)の中では、自分はロハス系とSpa!系の中間で8割型Spa寄りだな。そういやSpa!は割とよく買って通勤中に読んでる。
 この本は統計データの扱いがきなくさく厳密な検証に欠ける直感的な仮説という印象だが、自分の生活上の実感や自分周辺の社会を観察した実感からも社会の大まかな傾向を語る言説としては相当に正しいように思える。階層社会というが、共産主義のような階層が無い社会というのはそもそもありえないのであって、一億総中流とまで言われたかつての状態が尋常ではなかったのだ。大東亜戦争敗北後にアメリカーのニューディーラーが寄ってたかって設計しある程度の成功を収めた「社会主義国家」日本もソ連や中国のように破綻して、本来の社会に立ち返ってきたとさえ言える。この社会の階層化を否定して階級闘争しようとか悪平等社会にしようとか、隠れ左翼のアジテーションに踊らされてはならない。
 ま、つまり僕的に言えば階層上等、さらに言えば下流ですか何か?しかし、階層の存在をきちんと自覚して、そこにどういうスタンスを持つかが重要だと言えるだろう。この本の著者である三浦氏も言うように階層があるのだが階層が固定化せずに機会の平等が担保されている社会のほうが活力に溢れた国力の高い国家になる。前回も言ったが教育を民営化して、ごく一部のエリート国立公立だけ残し、どんなに貧乏でも意欲と能力があれば、そこへのパスが保障される社会というのが一つの例だ。さらに言えば、階層を肯定しながらノーブレスオブリージュ、つまり上位階層には尊い義務があるとして高い税金も納めるしエリート教育を受けて国家のためにも尽くすし、となれば無問題。階層化肯定とノーブレスオブリージュがセットで概念化すれば結果悪平等のこれまでよりも国家としての強度はむしろ高まっていくであろう。おいらは下流人間だけどノーブレスオブリージュを実践する上流系には愛国者として惜しみない支援を断固として行うよ。プリンス安倍晋三がんばれ、とかね(笑)
以下はLink先から引用。

”『ローマ人の物語』で作家・塩野七生は、ローマ帝国1000年を支えた根本は「ノブレス・オブリージュ」だったと強調した。ローマの貴族は社会的責 任を負わなければならないという考えが強かった。戦争が起これば貴族は率先垂範して最前方に出て戦い、公共の利益をためには貴重な財産を社会に快く提供し たという。
塩野は「知性ではギリシャ人より劣り、体力ではケルト人やゲルマン人より劣り、経済力ではカルタゴ人より劣っていたローマ人が、永らく巨大帝国を維持できた原動力は社会指導層の役割だった」と主張した。”

下流社会2に続く

--------------------------------
ランキングがやる気の維持にすごく影響します。
苦労して書いたことがみなさんの心に伝わっているかどうかを実感できるからです。
ぜひ、愛と誠意の1クリックを以下のバナーにお願いします。
人気blogランキング

| | コメント (4) | トラックバック (11)

2005.08.14

隠されたベストセラー 「嫌韓流」

 品切れ状態が続いていたマンガ嫌韓流をようやく入手した。タイトルだけ見ると、「韓流ブームに対する反発で韓国嫌いを公言した内容の薄いバッシング本」のように想像される人もいるかもしれない。しかし、実際には内容は実にまじめでまっとうなものだ。日本人として本当は知ってなければならない歴史が分かりやすくも緻密に語られている。
 今アマゾンではもっとも売れているベストセラーであるが、マスコミではほとんど触れられてない。東スポを除く大手メディアからは広告掲載を拒否されたんだそうだ。このようにしてネットで情報のアンテナを貼っている人はこういう本を入手したりするけど、新聞・テレビでしか情報を収集しない人はメディアの都合の良い方向に誘導されるのみ。メディアリテラシのデジタルディバイドはこのようにして進んでいくのだな。
 作者の車輪氏とそのサイトでは作品の一部をずいぶん以前からPDFファイルで公開していた。僕が知ったのはかれこれ2年位前。ちょうど小泉首相が最初に北朝鮮を訪問したころ。CD-ROMでの個人販売も行っていた。この内容では出版という形で日の目を見ることはないのかもな、と思いつつ、充実した内容にはかねてより尊敬の念を抱いていた。心からおめでとうと言いたい。

--------------------------------
以下のバナークリックお願いします。やる気でます
人気blogランキング


| | コメント (2) | トラックバック (2)

2005.05.23

右と左の経済を理解するリテラシ

 今回もブックレビューです。Political Compassで右派を自任する人が左と判定されたりして日本では愛国を軸に右と左が分裂しているけど実際の経済政策はみんな社会主義的な施策を支持しているということが見事に露呈されました。で社会主義的であることと資本主義的であることとはどういうことか改めて疑問に感じた人も多いでしょう。今回はそういう人のために資本主義とは何かという理解を高める本を紹介します。
 といっても自分は朝から深夜まで仕事で磨耗している社畜君ですから読書家とも言えませんし、勉強は極めて不足してます。読みやすく分かりやすい本しか読まないので、これから紹介する本も構えて読む必要はありません。
 というわけで以下にレビューです。

論理の方法―社会科学のためのモデル 小室直樹 東洋経済新聞社 
 小室直樹先生は、ソ連の崩壊を10年以上前から予言していた天才的な政治学者。今回紹介するこの本は分厚いのですが、ソ連崩壊、古典経済学、資本主義、日本政治学など幅広く分かりやすく解説してくれます。それぞれの章が独立していて、どこからでも読めるところがいいですね。教科書的啓蒙的な内容と語り口で文章がやさしいので苦痛なく読み通せます。第一章のソ連の崩壊を論じた部分がもっとも鋭くかつ明快です。頷きながら読み進めていけます。

--------------------------------
以下のバナークリックお願いします。やる気でます
人気blogランキング

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.04.13

騙されない・煽られない・流されないためのリテラシ

 アソシエートなる仕組みがあるそうな。Amazonとかに商品紹介のLinkを貼って、商品を買ってもらえたら小額ではあるけど報酬がもらえるそうな。別にお金には困ってないけど、読書のモティベーションアップにもなるだろうし、これからちょくちょくやってみようかしらん。
 というわけで以下にBook Reviewです。エントリーのタイトルである「騙されない・煽られない・流されないためのリテラシ」を高めるための書籍を紹介します。といっても非常に有名な本ばかりなのでいまさらという感じだけど。まだ読んでない人は、むしろ乗り遅れないようにしませう、という意味で紹介します。

 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ  谷岡一郎 文芸春秋
 有名な本なので既に読んでいる人も非常に多いでしょう。社会調査の手法が確立されてないために間違った社会調査の結果「ゴミ」が世の中にあふれていると著者は言う。ゴミが世の中に溢れているので、ゴミと本物を見分けるリサーチリテラシを提唱してます。それだけでなくマスコミが自説に誘導したいがために世論調査で悪質な誘導を行った事例を紹介していて非常に参考になります。それが記述された第4章「さまざまなバイアス」は立ち読みでもよいから必読。


 反社会学講座 パオロ・マッツァリーノ イーストプレス
 これもベストセラー。社会学の学者達が一部のデータを恣意的に悪用し社会問題をでっち上げている現状を笑いと風刺に効いた表現で暴いていく。少年が凶悪化しているのは嘘でむしろ沈静化している。データを戦後からちゃんと確認すると、むしろ戦後最凶なのは現在の50代、といった具合で世間では常識と化した社会学者が捏造した虚像の「社会問題」を次々と斬ってく。これはこれであまり真に受けてはいけないニュアンスもありますが、非常に面白いです。笑いながら読み進められます。


  こんな「歴史」に誰がした―日本史教科書を総点検する 渡部昇一/谷沢永一 クレスト社
 最近、教科書採択のシーズンになって歴史教科書の話題が盛り上がってきているが、自虐史観に騙されないためには渡部先生の著作は要チェックです。渡部先生は言わずと知れた保守論壇の重鎮。全著作を紹介したいくらいですが、時節に合ってるのでこれにしました。歴史教科書を作る会が発足してから僅か8ヶ月余の平成9年の時点にして新しい歴史教科書に先立って既に自虐教科書の問題を指摘し、本当の日本史を説き起こした書。対談形式なので非常に読みやすいです。
 

 虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ  高橋伸夫 日経BP
 成果主義という幻想に騙されないためには、サラリーマンはこれが必読です。頭の固い頑固爺が昔はよかった風の頑迷な主張を行っているわけではありません。科学的に成果主義はモティベーションとうまく連動しないことを論理的に説き起こしてます。人はパンのみに生きるにあらず。衣食が足りると、人間の欲望は自己実現要求や自己承認要求に向かうのです。合わせて、富士通の成果主義の失敗に関して実態を暴いた内側から見た富士通「成果主義」の崩壊も同じく必読です。成果主義制度の代表格と言われた富士通の悲惨な失敗事例は成果主義という欧米の制度の正体を余すところ無く教えてくれます。

--------------------------------
以下のバナークリックお願いします。やる気でます
人気blogランキング

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2004.08.15

セカ中

 「世界の中心で愛を叫ぶ」と言う小説が250万部以上売れて映画やTVドラマにもなっている。xxの中心でxxを叫ぶと言うのは、おそらく間違いなく2004年の流行語と認定されるだろう。
 いまごろだけど、どんな話なんだろうとあらすじを確認すると、初恋の女性が白血病で死ぬ話らしいと。それを聞いてずっこけてしまった。いまどきそれか?そういえば、昔「すすめパイレーツ」というギャグ漫画で白血病の少女をネタにしたパロディをやっていたなぁ。そんなことを思い出してしまった。歴史は繰り返すと言うか、「冬のソナタ」も純愛ものらしいが、そういう古臭いのが懐古される時代になったということか?で、その「セカ中」は少女漫画化された本をコンビニの立ち読みで15分で読んだ。初恋の女性が白血病で死ぬ、という何のひねりもないストーリーだった。はー、やれやれ。
 この小説で許せないのは「世界の中心で愛を叫んだけもの」というSFの名作のタイトルパクリをやっているところ。「世界の中心で愛を叫んだけもの」はハーラン・エリスンが書いた短編SF小説で1969年に『ヒューゴ賞』受賞している。もともと「セカ中」の小説のタイトルは「恋するソクラテス」だったそうな。ププ。でも、そっちのほうが痛い内容にはマッチしている。本家「けもの」つきのほうはウルトラヴァイオレンスな世界の死刑囚が愛を叫ぶので、泣けない事請け合いです。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2003.10.05

「学校が泣いている」

 「学校が泣いている」という本を本屋で手にとって立ち読みをしていると止まらなくなった。買った後、一気に読んだ。
 国立の小学校で起きた国旗掲揚事件。教職員が反対する中、校長が卒業式で国旗を掲揚したら、卒業生が校長に土下座しろと詰め寄ったという事件。著者はそんな新左翼の解放区と呼ばれる国立の市教育長に就任して以来4年間の経験をReportにまとめたという。

 国立という街は自宅の最寄駅から中央線で5分の近くにあって、それなりに足を踏み入れたこともある。印象としては小金持ちが住むブルジョア保守の街だとばかり思っていた。実は公立学校はサヨク・日教組に支配されている街だったとは。恐ろしや。仮に結婚して子供が生まれたとしても国立の公立学校にだけは入れたくないものだ。

 サヨク系市民団体の奇怪な論理に基づく意見の類は本書の中で随所に紹介されている。中でも「子供が主体となる学校行事を求める会」という名前の市民団体が学校長に宛てた要望書。これの文章には背筋が凍った。

「日の丸」や「君が代」を子どもたちの手に握らせ耳にひびかせようとするなら、私たちはそうするあなたたちの手を払いのけるしかありません。そうする以外に子どもたちを守るすべはないのだから。(中略)あなたはどちらの見方なのですか。子どもたちの?それとも国家の?

 サヨク団体とサヨク教師が結託して子どもたちを洗脳する学校現場。子どもたちの自主性という美名の放任が招く学級崩壊。くわばらくわばら。
 つーか、国立市民、闘え、追い出せ、やつらを。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2003.09.16

「昭和史」 渡部昇一

 最近、色々な人に右傾化しているとか右寄りとか言われることが多い。ま、得てして思想に無自覚な人に限ってそういうことを言うわけだけど。反戦平和のスタンスで朝日新聞を読んでいて自民党には若干批判的な立場にあるような左寄りの人に多い。確かにそういう人は多数派だろうから、プチ左翼国家日本において僕は右寄りなのかもしれない(笑)

 渡部昇一の「昭和史」を読むと、思想的に自分の立ち位置を意識せざるを得ない。太平洋戦争を聖戦と呼ぶ人も居るわけだけど、どうしてもそこには同意できないんだ。政治家が始めて政治家が終わらせた日露戦争。シビリアンコントロールとはかくあるべしだ。それに対して、軍人が無計画に始めてコントロールを失った太平洋戦争。司馬遼太郎は「昭和になって魔法がかかったように日本は駄目になった」という。明治・大正までは機能していたシビリアンコントロールが昭和になって崩壊したのが悲劇の真相だと思う。
 渡部昇一は以下のようにそのシビリアンコントロール崩壊の原因を喝破する。
 明治憲法は内閣や議会の存在をまったく規定しなかった。明治維新の功労者達・いわゆる”元老”に権威付けられて初めて内閣も議会も機能していた。日本に元老が失われると同時に内閣・議会は権威付けを失う。そして軍は自らを天皇の直属機関であると自己定義する。憲法の欠陥に附けこむ形で。そのような急ごしらえの憲法を作らざるを得なかったのが急造近代国家日本の悲劇であったというべきか。
 明治維新はアジアにおける一つの奇跡であり日本人なら誇っていい歴史の一つであろう。しかし、諸外国からの淘汰圧力の前で無理のある背伸びをした結果の構造欠陥。太平洋戦争の悲劇は司馬の言う歴史の魔法ではない。
既に鹿鳴館外交・元老政治・明治憲法公布の時点でその悲劇は内包されていたのだ、と渡部は言う。

 渡部の主張に対して疑問は無くもない。明治憲法に欠陥がなかったら軍部独裁を防ぐことができた。あるいはそれが歴史のIFなのかもしれない。しかしアメリカ及び欧米との戦争は本当にそれで避けられただろうか?日露戦争でロシアに勝ったとき、同盟国の勝利であるにも関わらず英国はそのとき重く静まり返ったという。結局、このときの白色欧米人にとってのトラウマが黄禍論を呼び覚まし、後の日本人排斥、経済封鎖、太平洋戦争へと繋がったのではないか?こうした人種戦争としての側面は、否定しがたい歴史の必然であったのではないか?シビリアンであれば、それは本当にうまく乗り切れただろうか?それだけの民主主義・政党政治の錬度が当時の日本にあっただろうか?シビリアンが弱腰で欧米に妥協を重ねて、多少の長い時間をかけて日本は準植民地にされてしまっただけではないだろうか?確かに悲惨な戦争も原爆もなかっただろう。しかし、その後のアジアの独立もなければ、核戦争の抑止もなく、中国・ソ連の共産圏との冷戦に巻き込まれて戦場にされてしまった挙句にアルマゲドンが起きていただけではないか?
 どうすればよかったのか。そこに答えは見えない。シビリアンコントロールは唯一汲み取れる歴史の教訓でありダメージコントロールであろう。しかし、その程度のIFでは歴史は完全に救済されない、運命の流れに逆らえない。僕はそう思うんだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2002.04.14

「銀座ママが教えるできる男できない男の見分け方」

恥ずかしい話で恐縮だが、言ってしまおう。「銀座ママが教えるできる男できない男の見分け方」を買って読んだ。
理由は明快。僕ができない男だから。てっとりばやくできる男になるには、思った次第。その発想からして、既に駄目なんだけどね

読んでみると例えば「靴は男の第二の顔」。靴はいつもちゃんと磨いてくださいだそうだ。夏場は消臭除菌も大事とある。
脱力
銀座ママの文章の後に"できる男の法則"というまとめがある。法則「消臭・除菌スプレーを靴にかける」だそうだ。
どうしてそうなる、というようなぶっ飛んだ纏めの法則も多く、笑いどころも満載。トホホなペーソスもブレンドされて大人の味わい。まだ、読んでない方にはお勧めです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2002.03.17

五十嵐貴久 「リカ」

ホラーサスペンス大賞 第2回受賞作「リカ」を読んだ。
精神異常のストーカー女
背が高くて痩せた身体
大股のスライドで異常に早い脚
異常なタフさ
うーむ、望月峯太郎の「座敷女」のパクリと言われても仕方あるまい。

出会い系からそういうストーカーに出会うという今風な切り口、ぐいぐい読ませる筆力はさすがだけど。
メインカルチャの小説家がサブカルチャーの漫画をパクっちゃいかんだろ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2000.08.04

『話を聞かない男、地図が読めない女』

『話を聞かない男、地図が読めない女』という本を読んだ。サブタイトルは ~男脳、女脳が「謎」を解く~

以前、母性本能は神話だとか性差を政治的意図で否定するフェミニズムは、科学の成果によって否定されたと書いた。その”科学の成果”を踏まえて、男と女の科学的機能差を論じたのが、この本だ。といっても、やさしい文章で、一気に読める。分かりやすいし、ところどころユーモアもある。「あー、あるある、そういうこと」なんて膝を打つようなエピソードも豊富だ。
女は地図を読むのが苦手、とか男は女のおしゃべりについていけないとか、そういう通俗的な男女のステロタイプを取り上げる。で、なぜそうなるのか理屈を付けていくというスタイル。

注意して読まなければならないのは、この著作で言う男と女は、統計的な「男」「女」だ。いわずもがなであるが、この手の一般論は個々人の男女に当てはめようとするとズレが起こり得る。もう一つは、社会環境や教育よりもホルモンなどの化学作用が人の人格形成や行動原理を決定付ける、という発想。そういう思想で書かれているということ。「人間=生化学機械」論とでも言おうか。
さらには”アジアの男は男性ホルモン「テストステロン」の分泌が少ない、だから空間把握能力が低く、概して縦列駐車が上手くない”と、一例だが、このような冗談とも本気ともつかない飛躍した論理展開もたくさんしていて、トンデモの香りがそこかしこにする。利己的遺伝子論でトンデモな本をたくさん出版した竹内久美子のノリに近い、と言えば、分かる人には分かるだろうか。

「人間=生化学機械」論の立場に立って、それで男と女の問題をすべて語る。そういう偏った一元論で世界を把握しようとするやり方は、「トンデモ」へと通じる道なのだと思う。現実の社会は多元的で、真相は重層的で非決定(吉本隆明)だ。その多元的な複雑さを引き受けることより、分かりやすさを支持すると、そこには「トンデモ」の罠が待ち受けている。

あ、ずいぶんと攻撃してしまったが、僕は大いに愉しんでこの本を読んだ。男と女は違う生き物なので、自分と同じように考えたり感じたりすると思わないで、相手の特徴をよく把握して付き合うこと。このメッセージは傾聴に値すると思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)